研究課題/領域番号 |
19H01300
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研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
立岩 礼子 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (80321058)
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研究分担者 |
ヒメネス ホアンラモン 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (10525281)
井上 幸孝 専修大学, 文学部, 教授 (20399075)
野上 建紀 長崎大学, 多文化社会学部, 教授 (60722030)
宮原 曉 大阪大学, グローバルイニシアティブセンター, 教授 (70294171)
伏見 岳志 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 教授 (70376581)
菅谷 成子 愛媛大学, 法文学部, 教授 (90202126)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | イスパノアジア / フィリピン諸島 / メキシコ / スペイン / イスパノ化 / 比較史 |
研究実績の概要 |
初年度は、計画に従って、メキシコとフィリピン諸島のイスパノ化に関する研究動向を共有し、個々の担当の事例研究の基礎的研究に従事した。研究代表の立岩は、「スペイン帝国における印刷技術の伝達に関する予備的考察」『京都外国語大学ラテンアメリカ研究所の現在』(京都外国語大学ラテンアメリカ研究所)を印刷中である。研究分担者の野上は共著で、「グアダラハラの陶磁器」『多文化社会研究』vol.6 pp.141-154のほか、単著で「太平洋を渡ったチョコレートカップ」『東アジア海域から眺望する世界史』明石書店 pp.267-301を出版した。また、同氏は、「『出島』から伝わった肥前陶磁」と題して、長崎県考古学会大会において報告した。 知見の共有にあたっては、定期的な遠隔会議のほか、8月中旬から下旬にかけてのメキシコにおける実地調査を通じて実施した。同調査では、メキシコ国立人類博物館、メキシコ市連邦文書館、イベロアメリカーナ大学図書館資料室、聖母グアダルーペ寺院、アカプルコ聖ディエゴ要塞歴史博物館、フランシスコ修道院(ウエホッツインゴ、テポツォトラン)、ロザリオ礼拝堂(プエブラ)、フランシスコ会修道院において物質資料と文字資料の閲覧及び分析を実施した。また、イベロアメリカーナ大学においてクリスティーナ・バロン教授(国際関係学科)とアルマンド・アスア准教授(歴史学科)と情報交換をし、今後の研究協力を具体的に話し合った。なお、この実地調査については、菅谷が第36回四国東洋学研究者会議にて「メキシコ実地調査報告-フィリピンのイスパノ化過程の比較検討に関連して」と題して報告した。 今年度の全体の成果は、ヌエバ・エスパーニャからフィリピン諸島へ転移したモノとフィリピン諸島からヌエバ・エスパーニャへ転移したモノを農産物、加工品、工芸品、建造物、娯楽に分けて整理し、その転移のルートや経緯について分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の特色は、メキシコとフィリピンのそれぞれを専門のフィールドとする研究者が協働であるため、研究代表者は経費及び時間の節約のためZoomによるオンライン会議を開くなどして、分担研究者らとの意見調整を行い、メキシコにおける実地検分を実施した。 現地の治安悪化に対応する必要性が生じ、計画の変更が心配されたが、最終的には大きな影響はなく、ほぼ計画通りに進めることができた。このメキシコにおける実地検分の成果を検証し、新たな知見を得たため、それについては必要な文献図書を購入することになった。 年度末に研究会を開催する予定であったが、新型コロナウイルス感染の懸念があり、中止を余儀なくされた。しかしながら、協働作業の1つの柱として、「食」をキーワードとするフィリピンのイスパノ化に係る翻案作業の具体例についてのデータ整理に着手し、メキシコでの知見の共有を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、個別の事例研究を共有し、全体討議に移行して、アジア的環境の中で生じたフィリピン諸島のイスパノ化の実態を具体的に検証していく。研究の中間報告として、2020年9月21-23日にスペインのアリカンテにおいて開催予定のINTERNATIONAL CONFERENCE ON PHILIPPINE STUDIES への参加を含む国際会議への参加を含む、スペイン人研究者との意見交換の場も検討中である。
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