研究課題/領域番号 |
19H01316
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
塩谷 哲史 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (30570197)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヒヴァ・ハン国 / 水利 / 中央ユーラシア史 |
研究実績の概要 |
本年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下において、現地調査を行うことが難しくなったため、①国内所在史資料の収集・分析、②成果公表に向けた準備に注力することにした。 ①については、現在の中央アジア5か国の領域にあたる地域の水利史のみならず、新疆、モンゴル、中国北部、朝鮮半島北部に至る、ユーラシア草原地帯南辺に位置する諸地域の水利史関連の書籍を収集、分析している。これにより、定住民と遊牧民との関係が、これらの地域の水利用のあり方にどのような影響を与えてきたかを把握できるようになった。また他のプロジェクトの調査の際に並行して、天理図書館などで関連史資料の収集を行った。成果の一部として、「ヒヴァ・ハン国史研究とフィールドでの史料調査」(『筑波大学地域研究』42、2021年3月)などを刊行したほか、事典項目として「南・中央・西アジアの砂漠 カラクム砂漠」「シルクロード」(日本沙漠学会編『沙漠学事典』丸善出版、2020年7月)を執筆した。 ②については、非常勤研究員2名(Ovsiannikov Kostiantyn 氏、Djalilova Nigora 氏)を任用し、ロシア語、ウズベク語で収集された口述資料の整理、ならび各氏の専門(公共経済、エネルギー政策研究)の見地から、今後の調査方法について助言をいただいた。Djalilova Nigora 氏は2021年3月 Routledge 社より、単著 Sustainable Energy in Central Asia: Transition Towards Renewable Energy Sources in Uzbekistan を刊行された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下において、現地調査を行うことが難しくなったため、①国内所在史資料の収集・分析、②成果公表に向けた準備に注力することにした。 ①については、「研究実績の概要」欄の記述と重なるため省略するが、②については、海外現地調査と並んで、国際学会での報告や学界活動への貢献ができなかったものの(自身が副会長を務めるESCAS [ヨーロッパ中央アジア学会] も大会開催中止となった)、国際的な学術雑誌への投稿を行うことができ、現在査読待ちの状態である。また非常勤研究員2名の協力を得ることができ、これまでの収集資料の整理に加え、公共経済、エネルギー政策研究の視点を取り入れた研究の発展可能性が見えてきた。本研究は歴史学、民族誌学の手法にもとづき研究を進めてきたが、今後現代社会への還元に向けた新たな研究手法を開拓できるという展望が見えてきたことになる。この点については、2021年度も継続的に取り組んでいきたい。 以上から、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も一定期間新型コロナウイルス感染症の影響が続くことが予想されるため、①国内所在史資料の悉皆調査、②成果公表に向けた準備を継続する。また、一般向け講座の開設準備については、現状ではオンラインでの実施が妥当である。オンライン実施の利点を活かすためには、映像や統計資料の利用が重要になるため、画像処理技術や統計データ処理に優れた研究者との連携を検討している。
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