研究課題/領域番号 |
19H01317
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森本 一夫 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (00282707)
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研究分担者 |
新井 和広 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 教授 (60397007)
河原 弥生 東京大学, 附属図書館, 准教授 (90533951)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | イスラーム教 / ムスリム / ムハンマド一族 / 血統 / 宗派 / サイイド |
研究実績の概要 |
コロナ禍は2020年度を通じて一向に収まる気配を見せず、企画していた海外合同調査、海外個別調査、学会発表のための外国出張、海外研究者・識者の招聘、研究会等のための国内出張など、長距離の移動を伴う計画は全て断念せざるを得なかった。オンライン授業の実施などに伴う教育負担と業務負担の増加によって、メンバーが研究に振り向けることができる時間も圧迫された。 このような厳しい環境のもとではあったが、2020年度中に3回の研究会(6月21日、8月8日、1月9日)をオンラインで実施し、メンバーがそれぞれ担当している個別課題に関わる発表(5本)に加え、研究資料の共同での検討(2つの資料)を行った。また、第3回目の研究会では、プログラムにイラン在住の識者によるイランからのオンライン講演を盛り込むこともできた。 2019年度には、2020年3月にデリーで開催される予定であった国際学会でパネルを組織することを計画していたが、コロナ禍で学会自体が中止となっていた。2020年12月に当該学会に替わるオンラインでの学術集会(The Association for the Study of Persianate Societies主催ASPS Virtual Event Series II: Two-Panel Event)が開催される運びとなったので、当初計画の通りの形でパネルを組織することができた。
上記の通り、2020年度当初には予期できなかったコロナ禍の長期化により長距離の移動を伴う研究活動が実施できなかったことから、翌年度への繰越を行った。しかし、海外への調査旅行等は2021年度を通して実施不能なままであったので計画の見直しを行い、図書を中心とする研究資料の収集などを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ただし、「おおむね順調に進展している」は、コロナ禍という状況の中で大幅に活動の制約を受け、計画の大幅な見直しを行ったことを前提とした上での自己評価である。海外渡航が不可能となる中で資料収集やフィールドワークなどの新たなインプットは大幅な制約を受けており、その状況は予算を繰り越して研究を継続した2021年度においても変わらなかった。共同でフィールドワークを行うことによってもたらされる新たな気づきや新出文献資料との出会いというような方向での進展は諦めることとなった。 必然的に、研究メンバーは、それぞれがすでに手がけていた主題、あるいはすでに入手していた研究材料に依拠する新たな主題に取り組み、当研究プロジェクトの成果としてそれをアウトプットすべく研究を進めている。こちらの方面においては、オンライン利用によって定期的な研究会が発表と意見交換の場として確保されていることもあり、おおむね順調な進展が見られている。特に、2020年12月に国際的な発表とフィードバックの場であるThe Association for the Study of Persianate Societiesの国際学術集会(オンライン)でパネル“Arguing the Place of the Prophet’s Family in Persianate World”を組織することができたことは研究の進展の上で重要であった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)「手持ちの」素材と構想を基礎とした個別研究を、研究プロジェクト内での意見交換や相互刺激を重視しつつ推し進め、2019年度から2022年度の4年間にわたる当研究プロジェクトにとって最重要の成果となる論集の刊行(2022年度末)に繋げる。その前提となる公開シンポジウム(オンライン)はすでに2021年度助成事業の一環として実施した。(2)より長期的な観点からの研究の発展を期し、海外での資料調査やフィールドワークの実施を模索し続ける。幸い本報告書を作成している2022年5月初頭時点では、研究期間終了までにこうしたインプット方面での活動を再開する可能性が見え始めているように見受けられる。
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備考 |
Juilen Levesque、Kazuo Morimoto他(執筆)、"Historicizing Sayyid-ness: Social Status and Muslim Identity in South Asia," special issue, Journal of the Royal Asiatic Society, 30 (2020), 129 pp.を刊行した。
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