研究課題/領域番号 |
19H01317
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森本 一夫 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (00282707)
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研究分担者 |
新井 和広 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 教授 (60397007)
河原 弥生 東京大学, 附属図書館, 准教授 (90533951)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | イスラーム教 / ムスリム / ムハンマド一族 / 血統 / 宗派 / サイイド |
研究実績の概要 |
2021年度も、新型コロナウィルスの蔓延により依然大きな制約がかかるなかでの研究活動を余儀なくされた。したがって、複数のメンバーが集まっての活動は全てオンラインで行った。 まず6月12日に年度初回の研究会を行った(2本の研究発表と研究打ち合わせ)。ついで9月18日には、公開のオンライン・シンポジウム「ムハンマドの血筋とムスリム:預言者一族をめぐる多様な語りと語り手たち」を開催した(科研費基盤研究A「イスラームおよびキリスト教の聖者・聖遺物崇敬の人類学的研究」(代表:赤堀雅幸)などの協賛を得た)。このシンポジウムでは、日本語での発表が不可能なジュリアン・ルヴェスク氏を除く10名のメンバーが四つのパネルに分かれて発表を行い、進行中のプロジェクトの全貌を示し、確認することができた。ついで3月3日には、9月のオンライン・シンポジウムの内容をもとにした論文集準備のための打ち合わせの会合を催した。 2021年度には、若手研究者養成のため、2019年度勤務してきた特任研究員に加え、新たに1名の特任研究員を雇用し、週1日、研究と運営補助に当たらせた。また、メンバーの研究推進に必要な図書を中心とする資料の購入も行った。
2021年度中に計画していたフランスからのジュリアン・ルヴェスク氏(研究協力者)とウズベキスタンへの合同調査はコロナ禍のため実施が不可能となったので、当該分の経費を繰り越しし、2022年8月に合同調査を、11月にルヴェスク氏を招聘しての講演会を実施した。合同調査に派遣した5名が得た研究資料や知見は、ルヴェスク氏の招聘にあわせて2022年度予算で実施した研究会で他のメンバーと広く共有した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍に応じ2020年度に研究計画の大幅見直しを行ったが、新たな計画の骨子は、2021年秋に公開の国内シンポジウムを開催してプロジェクトの研究内容の全貌を確認し、そこで得たフィードバックなどを踏まえて2022年度中に和文の論文集を刊行するというものであった。その計画に沿って、シンポジウムの準備会合的な意味も持つ研究会、シンポジウムそれ自体、さらにシンポジウムを踏まえ、それを論文集刊行につなげるための打ち合わせの会を無事に開くことができた。シンポジウムは関係者を除いて50名ほどの参加者を得ることができ、盛んな質疑によりプロジェクトのメンバーにとっても有用なものとなった。 2021年度にはまだ行うことができなかったルヴェスク氏の招聘と合同調査を翌年度への繰り越しを利用して実施することができたのも、時期的にもっと早く実施したかった恨みは残るが、メンバー間の意見交換などを目立って活性化させた。 なお、2019年度より東京大学東洋文化研究所で特任研究員として雇用していたメンバーが2022年4月づけで大学常勤教員に採用されたのも、研究者養成という観点から本研究の成果に数えうる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の最終年度となる2022年度の最大の目標は、東京大学東洋文化研究所発行の逐次刊行物『東洋文化』の特集号としてプロジェクトの最大の成果となる論文集を刊行することである。そのために引き続き定期的な研究会を催し、それぞれが追究するテーマを皆で議論し深めていく機会を確保する。年度半ばの脱稿を目指して作業を進め、プロジェクトが完了する年度末までの刊行を実現したい。論文集という形で一応の完成形をとった研究成果を踏まえ、プロジェクトの総括を行うことも2022年度の課題となる。
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