研究課題/領域番号 |
19H01324
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
西村 陽子 東洋大学, 文学部, 教授 (70455195)
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研究分担者 |
北本 朝展 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 教授 (00300707)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アジア史 / 中央アジア史 / 歴史地理学 / GIS / 人文情報学 |
研究実績の概要 |
本研究は、申請者らが提案する「デジタル史料批判」という手法を用いて20世紀初頭のシルクロード探検隊が残した地図・平面図・古写真といった様々な空間情報を持つ画像資料を定量的に解析することで、所在不明となっていた探険隊調査遺跡を系統的に解明し、これまで相互参照されることなく蓄積されてきた欧州・日本と現代中国の考古学・歴史学研究の成果を統合する地理学情報基盤を作成することを目的とする。 2020年度は国内において実施可能な活動を集中的に実施した。特に、遺跡データベースの仕様策定と構築作業を本格的に開始した。一方で、海外における調査活動は自粛したため、資料の取寄や海外との研究打合等のオンライン対応可能な活動を通して、デジタル史料批判の実践を着実に実施した。 〈デジタル史料批判の実践〉2020年度は、2019年度に引き続き、中国において調査を行った西北科学考察団関連の資料の検討を継続し、成果の一部を公表した。また、ベルリン国立アジア美術館所蔵の古写真やロシア所蔵古写真の検討を継続した。また、遺跡データベースの基礎となるデータ整備を目的として、「写真でつなぐシルクロード」等のデータ整備、地名データベースの追加などを行いオンライン上で公開した。 〈研究基盤の構築〉2020年度は、まず既存のツールであるMappinningの改良を行い、2種類の古地図の比較検討を可能にする機能を附与し、オンライン上で公開した。ついで、シルクロード遺跡データベースの構築を本格的に開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた海外調査は、2020年度全般にわたって自粛せざるを得なかったが、国内における遺跡データベース構築は順調に実施されており、国内における活動を中心として着実に実施している。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度もまた、継続して研究基盤の構築に集中的に取り組み、2021年度の前半には遺跡データベースとして正式に稼働させる予定である。デジタル史料批判の実践に関しては、ベルリン国立アジア美術館が現在取り組んでいる古写真のIIIF化が2021年度中に完成する予定であることから、その完成後に、稼働済の遺跡データベースも利用しつつ、協力して集中的にデータの照合に取り組むことを予定している。また、ロシア所蔵古写真も公開されたため、その写真照合にも取り組むことを予定している。
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