研究課題
2023年度は、共同研究の総括として、代表者・分担者が各自で論文・口頭による成果発表を積極的に行った。19世紀末から20世紀半ばにかけて激しい境界変動を被った歴史的境界地域であるアルペン・アドリア地域における、「境界化」の権力に対する地域住民の主体的・戦略的実践について多角的に検討することを目的とした本研究は、境界変動の生じた時期から20世紀後半から現代に至るまでの時間的広がり、境界化の権力の重層的・多面的な作用とそれに対する地域住民の多様な反応の検証へと、当初の予想を超えて広がった。このため、参加者の研究成果も、地域と時代を越える多岐にわたるものとなった。小田原、古川、秦泉寺が20世紀初頭を中核とする前後の時期の境界化の運動の歴史的経緯を辿ったのに対して、鈴木鉄忠は当該地域における現代的課題や、当該地域の住民の実践のトランスナショナルな影響にまで範囲を広げて論じた。鈴木珠美、藤井の成果からは、当該時期の境界化が、この地域の人の移動の活発化・恒常化と同時に生じていたことが明らかになった。このことは、境界化の権力を通じた境界の強化が今日的課題であることますます確信させるものであり、個々の発表を通じてそれを示すことができたのは一定の成果であった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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『ヨーロッパ研究』
巻: 23 ページ: 79-96
『歴史評論』
巻: 887 ページ: 5-14
『中央大学社会科学研究所年報』
巻: 23 ページ: 23-37
『TRANSIT』
巻: 61 ページ: 104
『現代思想』
巻: 51(9) ページ: 72-80