研究課題/領域番号 |
19H01332
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
北村 暁夫 日本女子大学, 文学部, 教授 (00186264)
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研究分担者 |
田中 ひかる 明治大学, 法学部, 専任教授 (00272774)
青木 恭子 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (10313579)
木村 真 日本女子大学, 文学部, 研究員 (20302820)
一政 史織 (野村史織) 中央大学, 法学部, 教授 (20512320)
杉浦 未樹 法政大学, 経済学部, 教授 (30438783)
平野 奈津恵 日本女子大学, 文学部, 研究員 (60634904)
山本 明代 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (70363950)
山手 昌樹 日本女子大学, 文学部, 研究員 (70634335)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 難民 / 移民 / 強制移住 / ヨーロッパ / ネットワーク / 支援組織 / 比較史 |
研究実績の概要 |
本研究は、18世紀から20世紀にいたる近現代ヨーロッパにおいて、戦争や国家・社会による迫害などによって空間的な移動を強制された人々を対象とし、こうした人々が移動の過程で自らの生存を賭して行った選択(これを本研究では生存戦略と呼ぶ)を明らかにした上で、生存した人々が移動の過程において、あるいは移動先において形成した人的ネットワークの実態を明らかにすることを目的としたものである。 初年度にあたる本年度は2回の研究会を開催した。第1回研究会は7月27日に開催し、参加者(代表者・分担者)9名が、4年間にわたって取り組むテーマに関して一人15分程度の報告を行った。9名のうち第1次世界大戦期を扱う参加者が3人、戦間期を扱うのが2人、第二次世界大戦期を扱うのが2人、その他が2人という構成になった。第2回研究会は12月14日に開催し、青木恭子「第一次世界大戦期ロシア帝国における避難民」と平野奈津恵「第一次世界大戦期のベルギー人難民をめぐって」の二本が報告された。いずれも第一次世界大戦期を対象としたもので、戦禍を逃れて避難した人々が移動した場所は大戦以前から同郷者が移民として向かっていた地域が多いことが明らかにされた。 研究会活動と並行して、参加者各人が研究対象とする地域での史料・文献収集および聞き取り調査を行うための外国出張が行われた。おおむね順調に進んでいたが、2020年初頭に始まる新型コロナウィルスCovid-19の感染拡大が3月からヨーロッパでも急速に進んだことにより、代表者が3月中旬に行う予定であったイタリアとクロアチアにおける現地調査は延期を余儀なくされた。そのため、年度内に研究活動を終えることができなくなり、科研費補助金の繰り越し申請を行った。2020年度に入っても新型コロナウィルスの流行が収束しなかったために外国出張は断念され、国内での文献収集活動に限定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年12月に開催された第2回の研究会まで進捗状況は順調であったが、2020年初頭に始まる新型コロナウィルスCovid-19の世界規模での感染拡大により、代表者の外国出張(イタリアとクロアチアにおける史料調査と聞き取り調査)が延期を余儀なくされ、繰り越し申請を行ったものの、2020年度に入っても感染の収束が見られなかったために、外国出張が結局中止となったことが大きな誤算であった。その結果、代表者の研究の進捗は大幅に遅れることになったが、分担研究者の大半は感染症の世界的流行以前に外国出張を行っていたため、2019年度に関しては研究の大幅な遅滞は生じなかった。以上のことを勘案して、研究プロジェクト全体に対する評価としては「やや遅れている」を選択した。 2020年度も外国出張が困難となったために、2020年度に関しては「遅れている」という評価を下さざるを得ない状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
2020年初頭に始まる新型コロナウィルスCovid-19の世界的流行により、外国出張(現地における史料や研究文献の収集および聞き取り調査)が困難となっているため、当初の予定に沿って研究を進めることが困難な状況に陥っている。外国出張が可能となるためには、新型コロナウィルスの流行の収束(ワクチンの普及など)を待たねばならない。 しかし、収束が容易に見通せない現在の状況においては、外国出張が不可能となっているため、これまでの予定のままでは単に手をこまねいていることになりかねない。したがって、何らかの代替的な方法を考慮する必要がある。 そこで考え得る方法の一つは、研究文献(先行研究)の徹底的な読解を通じて、研究対象に関する知見を蓄積していくことである。また、インターネットが普及している状況を利用して、デジタル化された文献や史料を検索し、それにアクセスすることを通じて、知見を蓄積していくことである。さらに、研究会の回数を増やして、研究の進展状況を相互にチェックするとともに、科研費の参加者(代表者・分担者)以外の研究者を招いての研究会やシンポジウムを開催することで、研究の進展具合をチェックすることである。オンラインでの学会開催に慣れてきた状況を利用して、国外の研究者を招いての研究会、シンポジウムの開催も行っていくことにしたい。こうした一連の方策を積み重ねることによって、外国出張が可能となった時に、従来よりもいっそう効率的な形で研究を進展させることが可能となるようにしていく。
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