研究課題/領域番号 |
19H01333
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
浦野 聡 立教大学, 文学部, 教授 (60211778)
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研究分担者 |
村田 光司 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (20793558)
深津 行徳 立教大学, 文学部, 教授 (70208916)
小岩 直人 弘前大学, 教育学部, 教授 (70296002)
樋口 諒 名古屋大学, 高等研究院(文), 特任助教 (70827196)
小野 映介 駒澤大学, 文学部, 教授 (90432228)
長谷川 敬 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (90781055)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 湖底土壌分析 / 城壁 / 集落 / 地域交通網 / 橋梁 / 川港 |
研究実績の概要 |
1)トルコのスレイマン・デミレル大学の研究協力者チェティン・シェンクル氏に委託し、ユヌス・ボズクルト氏によるEber湖底採取土壌中の花粉分析集計とディレク・シェンクル氏による、Akarcay盆地地域のオスマン期土地台帳データ集計を、前年度に引き続き行った。いずれについても当年度中に完了し、植生の通時的変化と近世における農地利用に関する基礎データを得た。このデータに基づき、気候変動と植生について、2.2K Eventとも呼びうる、深甚で、かつ短期間の気候変動=乾燥化があったことが、極めて高い確度で推定されるに至ったことは本年度の大きな成果である。この成果の確度をさらに高めるため、同資料を、本年度から22年度に繰り越した予算を用いて、MTAでのICP-MS検査と、中東工科大学(METU)での酸素同位体検査にまわし、基礎的データを取得した(22年度末)。 2)研究協力者シェンクル氏とそのチームに、新たにKaramik湿地の土壌採取の業務を委託し、試料を取得した。本年度分から22年度に繰り越した予算を用いてトルコの国営検査機関MTAにマイクロXRF検査を依頼し、基礎データを得た(22年度末)。 3)本年度予算から22年度に繰越した予算を用い、Akarcay川上流域と下流域のDEMデータと衛星写真データを取得し、分析を開始した(22年度末)。 4)浦野・長谷川・村田は、歴史班として、継続して、同地をめぐる流通や交通文献・史料調査に努めた。 5)3月にオンラインで、成果についての報告集会を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)Eber湖採取試料の分析によるデータが、マイクロXRF分析、炭素同位体分析、花粉分析の3つの面でそろい、昨年度の遅れを大幅に取り戻すことができた。しかし、その一方、新たに酸素同位体分析とICP-MS分析により、上記データから得られた情報のクロスチェックする必要がでてきたため、上記の2.2K Eventについても、確定的な解釈はいまだに難しい段階である。 2)Akarcay川の支流が形成する盆地に存在するKaramik湿地を新たにクロスリファレンスのための調査対象地に加え、そこからの試料採取を行ったのは大きな前進であった。しかし、コロナ禍により、現地とのデータや意見の交換が円滑でなく、それを理由として、前年度に採取したEber湖採取土壌の酸素同位体分析とICP-MS分析のための予算を翌年度に回したことは研究の遅れにつながった。 3)本年度に延期したAkarcay川のデルタ形成域調査は、渡航制限により行うことができなかった。 4)Tlos、Lycia城壁調査を、行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1)Eber湖より採取の土壌の花粉分析とオスマン期土地台帳の調査を終えたので、翌年度からはKaramik湿地からの採取土壌の花粉分析とKaramik湿地周辺地域の土地台帳調査に取り掛かる。 2)Karamik湿地採取土壌についてマイクロXRF分析を行うとともに、Karamik湿地の現地調査を行う。 3)Akarcay盆地の旧河床、橋梁遺構、都市・集落遺構の調査を行う。そのため、衛星写真とDEMデータの分析を並行して行うとともに、現地の考古学者との連携のもと、集落以降のマッピングデータを入手する。 4)城壁調査を行う。
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