モンゴル国ホスティン・ボラグ遺跡の発掘調査を実施し、複数の製鉄炉・鉱石焙焼炉・廃棄土坑などを検出した。放射性炭素年代測定から製鉄遺跡の年代は紀元前2世紀~紀元後1世紀であることが明らかとなった。また、炉形・土製羽口の出土・鉄滓の金属学的分析から製鉄技術の特徴の一端を明らかとした。その結果、紀元前2世紀の匈奴が鉄器生産能力を既に有しており、技術的系譜が南シベリアに求められることが明らかとなった。これは中国の史書にも記載されておらず、これまでの匈奴のイメージを覆す大きな発見であった。この成果を契機に匈奴の製鉄遺跡が、ゴビを除いて草原地帯の各地で発見されるようになった。
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