近年研究が進む前方後円墳の設計についての理解を前進させることができた。課題がまだ多いが、古墳時代中期の巨大前方後円墳を中心に進められている研究を見直し、前期後半からの推移を明らかにした。さらに前期前半や後期まで含めた分析を進めることで、前方後円墳がどのように変化を遂げてきたのかを、設計レベルで解明することができるだろう。仕様の変化を明らかにすることは、前方後円墳に込められた意識の推移に迫ることでもある。 また、設計の具体的な手順や、倭国王墓の設計がどのように複製されているかについて見通しを得たことは、今後、各地の前方後円墳について、そのモデルを見極めていく上で、大きな成果といえるだろう。
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