研究課題
本研究は、旧人は絶滅したのに対し、新人ホモ・サピエンスだけが人口増を果たした要因が、ホモ・サピエンスが投槍器や弓矢を使った新しい投射技術の開発による効率的な食料獲得を実現したことによるものと仮定し、この仮説を狩猟用石器の実験考古学的分析、対象獣の動物考古学分析、遺跡年代値の解析により、複合的に検証することを目的とする。最終年度は、昨年度実施できなかったイタリアにおける初期ホモ・サピエンス遺跡とネアンデルタール人遺跡の資料調査を実施した。本資料調査において、中期旧石器時代末葉のネアンデルタールの石器を分析し、彼らが使用したムステリアン尖頭器に狩猟時に形成された衝撃剥離を確認した。また、初期ホモ・サピエンスが使用した後期旧石器時代前葉の複数の時期の小石刃を分析し、各段階の衝撃剥離の頻度に違いがあることを確認した。これにより、ネアンデルタールとホモ・サピエンスの狩猟技術の違いやホモ・サピエンス段階での技術発達を示唆する重要なデータを得ることができた。また、前年度までに実施した投射実験のデータに基づいて上記考古資料の解析を進めた。更に、狩猟技術に関する研究成果と共同研究者の動物考古学的分析の結果を統合し、ネアンデルタールとホモ・サピエンスの食糧獲得の効率性に違いについて考察した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Archaeological Science
巻: 163 ページ: 105891~105891
10.1016/j.jas.2023.105891