研究課題/領域番号 |
19H01361
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研究機関 | 大阪学院大学 |
研究代表者 |
渡辺 千香子 大阪学院大学, 国際学部, 教授 (40290233)
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研究分担者 |
辻 彰洋 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (40356267)
小口 千明 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20312803)
岡田 保良 国士舘大学, イラク古代文化研究所, 教授 (90115808)
安間 了 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (70311595)
申 基チョル 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 准教授 (50569283)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 粘土板胎土 / 微化石分析 / メソポタミア / 堆積土 |
研究実績の概要 |
本年度の研究活動は、①研究会、②英国調査準備、③堆積土入手・年代測定、④第1回英国調査、から成る。 ①本研究の開始にあたり、これまでの研究の流れを振り返り、新たな研究方針と計画について討議した(6月:大阪学院大学)。 ②英国調査準備として、1)ギルスの文献研究についてゼルツ教授(ウィーン大学)と討議した(8月:ウィーン)。2)アシュモリアン美術館粘土板調査に備え、ミラー博士(UCL)・コリンズ博士(学芸員)と意見交換し、キシュとラルサ出土の粘土板に焦点をあてる方針を決めた。これに基づき、アシュモリアン美術館に調査申請書を提出した(9月:ロンドン・オックスフォード)。3)ギルスの遺跡調査で出土した粘土板ならびに運河堆積土について、粘土板胎土に含まれる超微化石と堆積土中の珪藻分析を大英博・UCL・国立科学博物館(東京)と共同で行う計画を立て、レイ博士(大英博)、クイン博士(UCL)、アルタウィール博士(UCL)と研究計画を具体化した(9月:ロンドン)。これに基づき、堆積土の珪藻分析と粘土板分析の申請書をレイ博士に提出した。 ③ジョゼリ博士(アルカディシア大学)からギルスの堆積土試料を科博へ送付してもらい、一部の試料で年代測定分析を行った(11月)。同氏と共同で行った研究(Jotheri, J., et al. Quartnary International 483, 2017, 57-69)がイラクの2019年度科学研究国際共同研究部門で最優秀賞を受賞した(Iraqi Science Day System 2019)。 ④アシュモリアン美術館にて、ラルサ(54点)、キシュ(45点)、カネシュ(12点)、ハットゥサ粘土板(14点)について帯磁率測定と化学組成分析を行った(2月:オックスフォード)。将来のデータ公表に向けて、データベース専門家に協力を依頼した(3月:オーフス)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
中国や日本で新型コロナウィルスの感染拡大が深刻化する中、英国は国内で感染が拡大する前であったことから、奇跡的にアシュモリアン美術館収蔵の粘土板調査が実現したため。
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今後の研究の推進方策 |
アシュモリアン美術館の調査で得たデータに基づき、メソポタミア南部の異なる遺跡から出土した粘土板胎土の化学組成について、どの程度差異化できるのかに焦点をあてて解析し、論文化する。新型コロナウィルス問題でギルス発掘調査が2020年度末まで延期されており、分析用の粘土板はギルス調査再開後、イラク当局の輸出許可を経て試料を入手する予定である。粘土板胎土との比較に必要な運河堆積土の年代測定分析について、調査再開後に継続して行う。
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