研究課題/領域番号 |
19H01362
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研究機関 | 武庫川女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
古濱 裕樹 武庫川女子大学短期大学部, 生活造形学科, 講師 (60449874)
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研究分担者 |
後藤 純子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (20413057)
小林 政司 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 教授 (60225539)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 染織品 / 染料鑑別 / 非破壊分析 |
研究実績の概要 |
古濱は、研究のベース構築に向けた環境整備を行った。主要な事項は以下の二点である。まず一点目、ハイパースペクトルカメラに関して、導入および測定環境の調査とセッティングを完了させた。予備測定を行い、取得データの問題点や手法の改善点を洗い出し、本測定開始に向けた検討を開始している。二点目、ハンドヘルド型蛍光X線分析装置に関して、導入および基本的なセッティングの完了を済ませ、本調査を開始した。蛍光X線分析によって二次微分スペクトル解析による鑑別に際し、重要な補完的情報が得られることになる。コチニールで染められた染織物の分析から媒染金属イオンの検出に成功している。周辺の研究施設の協力も得て、アクセサリーの充実を図りながら応用範囲を広げていく段階に入っている。 後藤は、二次微分スペクトル法で得られたデータの信頼性を確認しデータの照合を行うため、現有する高速液体クロマトグラフィーの一部更新を行い、分析環境の充実を図った。また、染料既知の多数の染色布を用いて染料分析を行い、リファレンスクロマトグラムを集積するため、まずは赤系染料である紅花等の分析を進めている。また、資料提供を依頼する共立女子大学染織文化研究室との連絡調整は今年度行えなかったため、次年度に実施し、研究協力体制を構築する。 小林については、研究分担者として古濱氏をサポートする形で、完全非破壊・非接触染料鑑別システムの設計を支援するための検討を開始した。現在、フーリエ変換の応用やAIの活用に活路を見出し,継続してその可能性を模索中である。また、関西圏において資料提供、知識供与など研究協力を依頼する外部機関(神戸ファッション美術館)との具体的な連絡調整を行い、研究協力、共同研究の内諾を得るとともに、ケーススタディーとして美術館収蔵品の高解像度カメラでの撮影およびアーカイビングを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析機器の導入と環境のセッティングを行い、分析を始めると様々な問題点が浮かび上がる。具体的には獲得した情報の加工が新たに必要となったり、分析対象試料に与えるダメージの検討が必要になったりである。それらへの対応のため、計画立案当初の想定と照らし合わせると、完全に想定どおりとはいっているとはいえないが、研究においてそれは当然のように付き纏うことであり、適切な対応によって当初の研究目標に向けての前進を図っている。年度後半は新型コロナウイルスの影響で動きが妨げられることになり、人的交流を伴う研究については2020年2月以降は停滞しているが、この状況下で可能なことを見出しながら、国や自治体、所属機関の新型コロナウイルスに対する行動指針を踏まえつつ、可能な範囲で研究を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
1.分析手法の確立、2.分析のための人的交流、3.データベースの拡充の三点がベースの柱となる。 1.分析手法の確立では次のことを行う。ハイパースペクトルカメラから得られたデータ画像の数値化にむけた演算プログラムを構築する。ハイパースペクトルカメラおよび蛍光X線分析での測定環境における染織物へのダメージを考慮した最適化を検討する。二次微分スペクトルの分析データとHPLCの分析データを照合し、分析の信頼性を明らかにする。データ解析におけるフーリエ変換の応用およびAIの活用に向け、検討を開始する。 2.分析のための人的交流については次のことを行う。2019年度に始めた他大学や民間研究機関との共同調査を今後も本格的に展開し、その中で本研究の手法を適用し、応用展開を図る。研究者代表者および分担者所属機関のミュージアム等施設と連携し、情報交換や調査を行っていく。研究分担者が連携を有する外部の博物館と連携し、情報交換や共同調査を行っていく。 3.データベースの拡充については次のことを行う。従来の接触型分光測色計で測定したデータを引き続き格納する。ハイパースペクトルカメラで測定したデータの格納については従来のデータとの比較を行ったうえで模索する。蛍光X線分析で得られたデータもデータベースに納められるようデータベースのインターフェイスを調整する。高解像度カメラの画像をおさめる。 これらのことは今年度で完結することではないが、それぞれ関連付けさせながら前進を図っていく。新型コロナウイルスによる社会情勢の動向によっては、特に2.の人的交流などへの支障が懸念されるが、その場合、1.や3.を優先して進めていくことにする。
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