研究課題/領域番号 |
19H01366
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
三橋 弘宗 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 講師 (50311486)
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研究分担者 |
高野 温子 兵庫県立人と自然の博物館, その他部局等, 研究員(移行) (20344385)
橋本 佳明 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (50254454)
石田 惣 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 学芸課, 主任学芸員 (50435880)
水島 未記 北海道博物館, 研究部, 学芸員 (70270585)
真鍋 徹 北九州市立自然史・歴史博物館, 自然史課, 学芸員 (90359472)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自然史標本 / 移動展示 / 歴史的建造物 / 保存科学 / 生態系管理 / 環境教育 / 博物館ネットワーク / 樹脂含浸 |
研究実績の概要 |
全国の自然史系博物館とのネットワークを通じ、各地の学芸員との協働により、歴史的建造物を利用した移動展示を実施した。会場は、京都市重要文化財となる花洛庵野口家住宅を借用し、通常は非公開である伝統的な京町屋と庭を生かし、自然と文化の関りの観点から、「Japan color; Where Culture Meets Nature展」を開催し、自然史標本の展示活用の技法確率、保存の方法、来館者動向や応答について分析した。実施した時期は、国際博物館会議が開催される8月下旬から9月中旬とし、日本だけでなく海外の博物館関係者からの意見も把握した。これらの実践を通じて、博物館内だけでなく、自然史標本を生かして地域に普遍的に存在する「歴史的建造物」における展示の方法論や、社会的なインパクトについて実証実験した。この成果は、ICOM京都大会、日本展示学会、公開シンポジウムおよびモノグラフとして取りまとめた。これらは、科研費の到達点の1つである、オープンな博物館学の教科書の1章として反映させる。 この取り組みと並行して、標本のデジタル化と自動デジタル化技術、天然化合物(ワサビ抽出油)を用いた害虫駆除法、3次元測量による立体画像構築に関する技術開発や研究を行った。このなかでも、植物標本画像のデジタル化とラベルの自動読み込みに関するスキームが確立し、WEBによるリモートワークを行うことが出来るようなった。また、ワサビ抽出油であるAITCの活用については、研究論文として取りまとめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度は、国際博物館会議(ICOM京都大会)の開催期間中において、歴史的建造物を活用した移動展示を開催し、予想以上の来場者ならびに国際交流が大きく進展した。これらの成果は、カラーモノグラフとして出版することができ、さらに関係の論文や学会発表に繋がっている。初年度で予見的な研究内容であるが、天然化合物による保存技法、デジタル化など、実践レベルの内容が論文として取りまとめられ、これまでの自然史博物館の古典的な方法にパラダイムをもたらすものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
自然史博物館の資料論、保存論、情報論、展示論に関係したテキストを作成することを目的として、今後は保存科学部分の知見収集や分析実験を進めるものとする。このなかでも、ワサビ抽出油(AITC)を用いた環境や健康に優しい天然化合物による実証実験ならびに、デジタル化による植物標本整理の技法確立とコスト評価を行う。これらは、コロナ時代のリモートワークでのデータ入力方式となることを期待している。 また、デジタル化については、博物館現場で出来る3次元画像の撮影法の確立を大阪自然史博物館、北海道博物館と行い、学芸員講習会を通じて現場レベルでの実践法として確立する。
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