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2022 年度 実績報告書

自然史標本の汎用化と収蔵展示技法の体系構築

研究課題

研究課題/領域番号 19H01366
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

三橋 弘宗  兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 講師 (50311486)

研究分担者 高野 温子  兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (20344385)
橋本 佳明  兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 特任教授 (50254454)
石田 惣  地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 主任学芸員 (50435880)
水島 未記  北海道博物館, 研究部, 学芸主幹 (70270585)
真鍋 徹  北九州市立自然史・歴史博物館, 自然史課, 学芸員 (90359472)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード自然史標本 / 移動展示 / 保存科学 / 樹脂含浸 / 生態系管理 / 環境教育 / 博物館ネットワーク / デジタル化
研究実績の概要

自然史資料の保存と展示をバランスよく両立するための方法論について研究開発と事例収集、実践を通じて、新しい自然史の博物館学の教科書の作成を進めている。このなかで、今年度は、収蔵庫の設計、標本のデジタル化、ハンズオン標本作成、展示照明技術開発に関して研究開発を進めた。主に、全国の自然史系博物館とのネットワークを通じ、会合の開催や視察等により事例の収集を行った。
収蔵庫環境については、人と自然の博物館において新収蔵庫の設計を社会実験的に捉えて、温湿度環境やアンモニア濃度の測定を通じて、設計上の配慮点の洗い出しの行った。特に。中空二重壁による効果や、遮熱コートの効果を測定した。また、収蔵状態を来館者が閲覧できる環境設計を行い、空調管理、ガラス面の選定、反射処理などの技術開発を行った。
デジタル化技術の開発については、高精細デジタル化および3次元測定の汎用化技術の開発を行い、学芸員向け講習会を通じて技術の課題整理を行った。また、標本画像のデジタル化については、ラベル画像からのAIによる自然言語処理によってデータ読み取りを行ったほか、植物標本からの種の自動同定の技術開発を行い、論文として整備した。
保存技術の分野では、シリコン樹脂を活用したプラスティネーション技術を常温常圧で可能にする樹脂の開発が完了し、いくつかの博物館にて製作を実施した。
これらを複合的に博物館教育のなかに取り組む講座や展示設計、新施設の設計を実践的に行い、これらの成果をもとに、標本取扱いの様々な技術論から地域での移動展、博物館教育までの横断した実践を通じて、教科書として成果を取りまとめを進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

国際的な雑誌に論文掲載したほか、これまでに一般的でない方法論を採用した保存や展示標本の実践が出来ている。特に、人と自然の博物館での実験的な収蔵展示の導入や収蔵庫の整備が完了し、それにまつわる研究技術や測定を得ることが出来ており、これらの成果をもとにした教科書の作成を進めている。市販の書籍としてのとりまとめ、HP上でのテキスト作成を進めている。また、懸案となっていたAI活用に関するアルゴリズムの確立およびアプリケーションの開発も完了しており、全国の博物館にて導入できる状態となっている。単に学術成果の論文発表だけでなく、実際の博物館活動のなかで活かされている。

今後の研究の推進方策

今後の課題は、保存部門の技術確立ならび展示技術の実践適用ならびにそれらの統合を進めて、オープン教材を作成することである。保存技術部門では、収蔵庫の設計と運用、燻蒸方法、防カビ薬剤処理、減圧による保存処理の方法などの実践技法を整理する。展示では、照明およびハンズオン標本整備、インクルーシブ対応、コロナ対応技術、デジタル化画像の活用と言った新たな技術を中心として成果を取りまとめる。最終年では、成果をオープンテキストとしてとりまとめ、標本の重要性を伝えるための展示や教育、教材づくりを各館と連携し、さらに全国の博物館とのネットワークを通じて講習やシンポジウムを開催して進める。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 2022年に兵庫県津居山沖の日本海で底びき網に混獲されたダイオウイカについて2023

    • 著者名/発表者名
      頼末武史, 三橋弘宗, 西田昭夫, 大谷徹也, 田村一樹, 山中健志郎
    • 雑誌名

      人と自然

      巻: 33 ページ: 123-126

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 自然共生サイト”と生物多様性を生かした持続可能な暮らし2023

    • 著者名/発表者名
      三橋弘宗
    • 雑誌名

      エコひょうご

      巻: 106 ページ: 1-4

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 野幌森林公園地域のシダ植物相2023

    • 著者名/発表者名
      水島未記・佐藤利幸・山崎真実・野幌森林公園植物調査の会・扇谷真知子・神真琴・堀繁久・表渓太
    • 雑誌名

      北海道博物館研究紀要

      巻: 8 ページ: 27-52

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Development of a system for the automated identification of herbarium specimens with high accuracy2022

    • 著者名/発表者名
      Shirai Masato、Takano Atsuko、Kurosawa Takahide、Inoue Masahito、Tagane Shuichiro、Tanimoto Tomoya、Koganeyama Tohru、Sato Hirayuki、Terasawa Tomohiko、Horie Takehito、Mandai Isao、Akihiro Takashi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 12 ページ: 8066

    • DOI

      10.1038/s41598-022-11450-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Reconciling biodiversity conservation and flood risk reduction: The new strategy for freshwater protected areas2022

    • 著者名/発表者名
      Akasaka Takumi、Mori Terutaka、Ishiyama Nobuo、Takekawa Yuya、Kawamoto Tomonori、Inoue Mikio、Mitsuhashi Hiromune、Kawaguchi Yoichi、Ichiyanagi Hidetaka、Onikura Norio、Miyake Yo、Katano Izumi、Akasaka Munemitsu、Nakamura Futoshi
    • 雑誌名

      Diversity and Distributions

      巻: 28 ページ: 1191-1201

    • DOI

      10.1111/ddi.13517

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 博物館の標本保存技術、道路の防草や漏水防止に応用2022

    • 著者名/発表者名
      三橋弘宗
    • 雑誌名

      コンバーテック

      巻: 590 ページ: 10-15

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] COVID-19状況下での教育活動へのデジタル映像配信活用とその課題:大阪市立自然史博物館での実践例から.2022

    • 著者名/発表者名
      佐久間大輔, 石田 惣, 石井陽子, 釋 知恵子, 山中亜希子, 北村美香
    • 雑誌名

      デジタルアーカイブ学会誌

      巻: 6(2) ページ: e1-e10

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 新型コロナウイルス感染症未終息下での特別展における新たに導入した展示手法と来館者の反応2022

    • 著者名/発表者名
      真鍋 徹・中西 希・太田 泰弘
    • 雑誌名

      北九州市立自然史・歴史博物館研究報告A類(自然史)

      巻: 20 ページ: 5-15

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 自然史とデータ活用を支えるプラットフォーム2023

    • 著者名/発表者名
      三橋弘宗
    • 学会等名
      日本生態学会(第70回)
    • 招待講演
  • [学会発表] 新収蔵庫棟コレクショナリウムについて2023

    • 著者名/発表者名
      三橋弘宗
    • 学会等名
      ミュージアムマネジメント学会(ミッション・マネージメント研究部会)
    • 招待講演
  • [学会発表] 自然言語処理を用いた植物標本ラベルデータ自動抽出法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      高野温子・小長井元
    • 学会等名
      日本植物分類学会
  • [学会発表] 植物標本を活かして守る:デジタル化からOCRデータ自動抽出、AIによる標本自動判定まで2022

    • 著者名/発表者名
      高野温子
    • 学会等名
      日本植物分類学会
  • [学会発表] 特定外来アリ類の国内侵入・定着の現状と対策―ヒアリとアルゼンチンアリ2022

    • 著者名/発表者名
      橋本佳明・坂本洋典・三橋弘宗・長島聖大・五箇公一
    • 学会等名
      第67回日本応用動物昆虫学会
  • [図書] 自然史博物館の標本~新たな価値創造への挑戦~(in 人と自然のワンダーランドへ、ようこそ)2023

    • 著者名/発表者名
      三橋弘宗(兵庫県立人と自然の博物館編)
    • 総ページ数
      284
    • 出版者
      神戸新聞総合出版センター
  • [図書] 可憐な花、オチフジの謎にせまる(in 人と自然のワンダーランドへ、ようこそ)2023

    • 著者名/発表者名
      高野温子
    • 総ページ数
      284
    • 出版者
      神戸新聞総合出版センター
  • [図書] 意外と役立つアリの研究~博物館と社会の絆~(in 人と自然のワンダーランドへ、ようこそ)2023

    • 著者名/発表者名
      橋本佳明
    • 総ページ数
      284
    • 出版者
      神戸新聞総合出版センター
  • [図書] 環境影響評価 in 社会基盤と生態系保全の基礎と手法2022

    • 著者名/発表者名
      三橋弘宗
    • 総ページ数
      196
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      978-4-254-26175-2

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公開日: 2023-12-25  

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