研究課題/領域番号 |
19H01374
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
後藤 秀昭 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (40323183)
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研究分担者 |
杉戸 信彦 法政大学, 人間環境学部, 准教授 (50437076)
隈元 崇 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (60285096)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 変動地形 / 海底段丘 / 海成段丘 / 数値標高モデル / 活断層 |
研究実績の概要 |
本研究は、海成段丘の傾動が数多く認められる南西諸島のうち,主に中部および北部を対象に、沿岸海域の詳細な地形・地質調査を実施し、陸海を統合した高精細な沿岸地形図を作成するとともに、それらの判読と解析を通して、最終間氷期以降の連続的な地形発達史の復元に基づいて地殻変動様式を明らかにすることを目的としている。具体的には、氷期に形成された海面下の沈水海成段丘と海底の活断層の分布を明らかにするとともに、陸上の海成段丘の分布と旧汀線高度の傾動とをあわせて地図化し、合理的な地形発達を検討するなかで、海底活断層の変位様式と速度を明らかにしたいと考えている。 2020年度は,明瞭な海成段丘が分布する喜界島を対象に陸上の地形調査と,沿岸海域のマルチビーム測深調査を実施した。陸上の多段化した完新世の段丘地形をGNSSで地形断面図を作成するとともに,昨年度の計測結果を用いて全島の地形モデルを作成した。これらから,後期更新世から完新世にかけての島の隆起傾向が明らかになった。 これを踏まえ,沿岸海域の測深調査を3月に実施した。コロナ禍にもかかわらず,運に恵まれ,良好な地形地質データを得ることができた。海底段丘と海底活断層の地形と地質の様子を観察できる貴重な情報が取得できたと思われる。 一方,すでに取得済の海底地形データを用いた伊平屋島周辺の変動地形学的研究については,国際学術誌に掲載された。あわせて,南西諸島海溝南部の測深データを収集し,これまでの地形判読に用いてきた地形図よりも鮮明な地形が見える可能性が高いことが解った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
喜界島の海成段丘について分析を行い,それを踏まえて,前倒し申請を行い,次年度実施予定であった喜界島沖の測深調査を今年度に実施した。また,研究成果を国際学術誌に掲載させるなど,着実に成果を挙げている。これらから,計画以上の進展ということができる。
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今後の研究の推進方策 |
1)喜界島および沖永良部島の海成段丘について,詳細な地形モデルに基づいて傾動や変形様式について検討を行う。 2)喜界島沖の測深地形データを解析し,分析に耐えられるデータに整える。 3)これまでに得られた地形データの分析を進め,分担者と地形の発達や地殻変動について議論を行う。 4)得られた成果について速やかに公表できるよう,学術大会での発表や論文化を進めたい。
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