研究課題/領域番号 |
19H01375
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
高橋 洋 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 助教 (50397478)
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研究分担者 |
藤波 初木 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 講師 (60402559)
櫻井 南海子 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 主任研究員 (30435846)
杉本 志織 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), 研究員 (90632076)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アジアモンスーン |
研究実績の概要 |
日本や世界の複数の地域を対象として、降水時の水蒸気輸送の特徴的なパターンを明らかにするために、ラージスケール及びメソスケールでの水蒸気輸送の実態の解析を進めた。 ラージスケールの循環場の解析として、アジアモンスーン循環との関連に着目して、梅雨に関連する水蒸気輸送について解析を行った。一般的に、西日本での豪雨については、太平洋高気圧の西縁の強い水蒸気輸送の重要性が指摘される。この流れが熱帯のアジアモンスーン循環の季節進行と強く関連している可能性が示唆された。過去10年程度の梅雨期の豪雨について、衛星観測データによる解析を進めつつある。また、それに伴う水蒸気輸送を今後解析する。 メソスケールの水蒸気輸送については、南アジアの日変化に伴う水蒸気輸送について、数値シミュレーションを用いて解析した。空間分解能の違いにより、降水システムの組織化、それに伴う水蒸気輸送が異なる事が分かった。また、積雲対流パラメタリゼーションの使用の有無によって、降水システムと水蒸気輸送が大きく異なることが分かった。 関東平野については、ラージスケールの擾乱が顕著ではない事例を対象として、夏季の熱的循環に伴う豪雨を対象にシミュレーションを行い、降水システムの再現性を調べた。レーダー観測と比べて、時刻や位置のズレはあるものの、降水システムを概ね再現できていた。また、陸面の状態を変えた実験を行いつつある。シミュレートされる降水システムは変化するものの、現状では、変化が系統的であるかどうかは分からない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本や世界の複数の地域を対象として、豪雨時の水蒸気輸送のパターンを明らかにするために、ラージスケール及びメソスケールでの水蒸気輸送の解析を進めた。
ラージスケール及びメソスケールでの水蒸気輸送の解析をそれぞれ進め、少しずつ成果が出てきており、次年度には、追加の論文を投稿できる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
日本や世界の複数地域を対象として、降水時の水蒸気輸送のパターンを明らかにするために、ラージスケールおよびメソスケールでの水蒸気輸送の解析を継続する。特に、ラージスケールについては、日本の梅雨期の豪雨についての結果が得られつつあるため、その研究を進める。今後、論文として投稿できる見通しである。また、これまでに研究の少ないメソスケールの水蒸気輸送については、ラージスケールの循環場が比較的静穏である条件下でコンポジット解析を行い、どのような水蒸気輸送が特徴的であるのかを理解する。現状では、ラージスケールとメソスケールの関係を、総合的に整理することは当初予想していたよりも難しいと考えているため、それぞれスケール別の解析を進める。
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備考 |
(3)のタイトル:Wetter than wet: Global warming means more rain for Asian monsoon regions, Large-scale simulation reveals how Asian monsoons will transform with climate change
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