研究課題
日本や世界の複数の地域を対象として、降水時の水蒸気輸送の特徴的なパターンを明らかにするために、ラージスケール及びメソスケールでの水蒸気輸送の実態の解析を行った。ラージスケールの解析として、最近約10年間で梅雨期の豪雨が頻発していることが衛星観測データより明らかになった。さらに、上層の大気場及び水蒸気輸送について解析を行った結果、アジアジェットに沿ったトラフにより、梅雨前線付近で大気が不安定化しており、かつ、太平洋高気圧の西縁の水蒸気輸送が強化されていることが分かった。さらに、太平洋高気圧の水蒸気輸送の強化には、太平洋高気圧の強化が関わっており、それは、最近10年間に太平洋高気圧の西部、つまり日本の南海上での熱帯擾乱活動が相対的に不活発であることと関係していた。この結果については、社会的にも重要であると考え、プレスリリースし、新聞などにも取り上げられた。メソスケールの水蒸気輸送については、南アジアの降水について、シミュレーションを用いて、地表面の乾燥化の影響を調べた。雨季の雨については、乾燥化は降水の弱化に関連していそうであるが、地域によって異なった結果が得られた。また、熱的な循環に伴う夕方の降水を弱化させそうであるが、夜間の降水については、変化が明瞭ではなかった。興味深い結果が得られつつあるが、今後継続的な研究が必要である。さらに、本課題の関連研究として行われた、ヒマラヤの南斜面の降水日変化では、超高解像度の気候シミュレーションを実施し、解析が行われた。この結果は、高解像度再解析と現地観測を組み合わせた結果とも整合的であった。関東平野については、ラージスケールの擾乱が顕著ではない事例を対象として、夏季の熱的循環に伴う豪雨を対象にシミュレーションを行った。今後も、地表面状態の影響の研究を継続したい。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
(1)タイトル: New long-term satellite analysis shows “plum” rainy season wetter now than ever before
すべて 2021 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件) 備考 (4件)
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