インドネシアにおける海陸境界帯の気候学－ジャカルタ豪雨をもたらす沿岸水循環の解明

2023 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 19H01378
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 審査区分: 小区分04010:地理学関連
• 研究機関: 国立研究開発法人海洋研究開発機構
• 研究代表者: 森 修一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究センター), 上席研究員 (00344309)
• 研究分担者: 伍 培明 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究センター), 主任研究員(シニア) (00360751) ; 相馬 一義 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40452320) ; 勝俣 昌己 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究センター), グループリーダー代理 (50359147) ; 濱田 純一 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 客員准教授 (50359212) ; 荻野 慎也 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究センター), 主任研究員 (80324937) ; 藤田 実季子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究プログラム), 副主任研究員 (50426293) ; 金森 大成 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 研究員 (50422803)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: 海大陸気候 / 沿岸水循環 / 赤道越えモンスーンコールドサージ（CENS） / ジャカルタ豪雨 / 海陸風循環 / 沿岸豪雨帯 / 対流日変化 / 対流季節内振動（MJO）

研究成果の概要

インドネシアのジャカルタ首都圏を対象として，歴史的観測資料やレーダーなど現地観測，人工排熱も考慮した都市気候モデルに基づき，熱帯沿岸都市域に豪雨をもたらす降水活動の時空間変動や熱帯沿岸水循環を調査した．その結果，沿岸降水活動はジャカルタ首都圏の南北地形（沿岸域，平野部，山岳域）により大きな影響を受けたメソスケールの時空間変動を示していた，その時空間変動は雨季・乾季の違いや，MJOの位相により強い影響を受けていた．また，特に沿岸域では，日変化の早朝時間帯やMJO Phase 3を中心に，降水強度は弱いものの継続時間が長く発生頻度も高い層状性降水によって多量の降水がもたらされていることが判明した．

自由記述の分野

熱帯気象学，熱帯気候学，メソ気象学

研究成果の学術的意義や社会的意義

我々の先行研究等から，ジャカルタ沿岸豪雨の背景要因として，北半球冬季モンスーンのジャワ海侵入（赤道越え北風サージ：CENS），赤道上を東進する対流季節内変動（マッデン・ジュリアン振動：MJO），および局地風循環（海陸風，山谷風）の相互作用が重要であることが示されてきた．本研究の歴史的資料解析やレーダー観測結果等から，各々の背景環境において沿岸域では降水強度が弱いものの長時間・高頻度の層状性降水過程により多量の降水が形成されていることを初めて示すなど，豪雨をもたらす沿岸水循環系の学術的理解進展の一里塚となった．また，防災に重要な沿岸豪雨予測の物理プロセス改善など社会的にも貢献する知見となった．