研究課題/領域番号 |
19H01382
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡本 耕平 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90201988)
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研究分担者 |
杉江 あい 名古屋大学, 高等研究院(環境学), 特任助教 (10786023)
池口 明子 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (20387905)
葉 せいい 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (30242332)
熊谷 圭知 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (80153344)
高木 彰彦 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (90197054)
紺屋 あかり お茶の水女子大学, 理学部, 学部教育研究協力員 (90757593)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 南洋 / 地誌 / 地政学 / パラオ |
研究実績の概要 |
1)戦前戦中の「南洋地理学」の特徴については、南洋群島文化協会機関誌「南洋群島」のうち1巻から3巻を中心に文献調査を行い、南洋地理学とオセアニア地域研究との関係性について検討した。また、戦前日本における地政学と南洋について検討し、福岡地理学会で発表した。 2)「南洋地理学」の戦後への影響については、戦前から終戦直後までの大学地理学教室の卒業論文について、テーマの選択のいきさつや、戦後の地理学及び文化人類学への影響について検討した。 3)新たな地誌・地域研究の在り方については、グローバル化時代の地誌の課題、上から目線でない地誌のあり方、地誌と地域研究の関係などを検討した。また、地誌の現代的な課題として、ロヒンギャ難民を例として、新たな地誌・地域研究は難民問題にいかにアプローチすべきについて検討した。以上をもとに、地誌(学)の新しい教科書の内容について検討した。地誌は世界認識であり、アイデンティティ形成、他者理解でもある。2020年度から高等学校で始まる必履修科目「地理総合」の3本柱の一つ「国際理解と国際協力」は従来の地誌ではなく、新しい地誌の理念と連関する。 4)パラオにおいて、委任統治領時代に出生し、父母や養父母のエスニシティ(パラオ、日本、沖縄)が異なるた女性4名、および戦後パラオに来住し20年以上パラオで生活している日本人女性3名、最近5年以内にパラオに来住し仕事をしている3名の日本人に、「パラオから見た日本、日本から見たパラオ」というテーマでインタビュー調査を行った。そのほかの海外フィールドワーク調査については、新型コロナ禍等の影響で十分に行えなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していたオーストラリア、ニュージーランドでの調査がコロナ禍で中止を余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、コロナ禍によって昨年度以上に海外研究が困難であり、先が読めない状態である。文献研究を重点的に行うこととし、交付申請書に記した通り、下記の研究を遂行する。 1)戦前戦中の「南洋地理学」の特徴の検討:佐藤弘・飯本信之編『南洋地理大系』全8巻、および小牧実繁その他『世界地理政治大系』6巻の記載内容を、第一次世界大戦後に刊行されたI.Bowman『The New World』全3版、および戦後の日本で刊行された佐藤弘『新しい世界』全3冊と比較検討する。また、小学校の地理教科書に描かれた南洋地域の変遷を考察する。 2)「南洋地理学」の戦後への影響についての検討:・パラオ、台湾、東南アジア地誌の検討 3)新たな地誌・地域研究の在り方の検討:主に英語圏における地誌の動向のレビュー、および地理教育における地誌の役割の検討。
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