研究課題/領域番号 |
19H01387
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菅 豊 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (90235846)
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研究分担者 |
西村 明 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (00381145)
塚本 麿充 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (00416265)
米野 みちよ 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (20798144)
川田 牧人 成城大学, 文芸学部, 教授 (30260110)
俵木 悟 成城大学, 文芸学部, 教授 (30356274)
加藤 幸治 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (30551775)
塚原 伸治 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (30735569)
宮内 泰介 北海道大学, 文学研究院, 教授 (50222328)
小長谷 英代 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (60300472)
佐藤 洋一 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (10277832)
山下 香 甲南女子大学, 文学部, 准教授 (80756635)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ヴァナキュラー・アート / 限界芸術 / 野の芸術 / アウトサイダー・アート / vernacular art |
研究実績の概要 |
本研究は、これまでの日本の民俗学が十分に取り組んでこなかったアートという研究ジャンルを日本の民俗学のなかに画定し、それに対応する研究視座を構築すること、さらに、ヴァナキュラー概念を用いた民俗学的アート論によって、従来のアート研究では重きが置かれてこなかった普通の人びとのありきたりな日常的アート創作活動、すなわち「野の芸術」の様相と意義を問い直すことを目的とした。それは、日本の民俗学のなかでアートという研究ジャンルを新しく開拓し、またアートの担い手として「普通の人びと」を包含、重視した点で大きな意義がある。 本年度、研究メンバーは、まず個々のフィールドで生起しているヴァナキュラー・アートをめぐる実践の展開と深化に不可欠な重要課題を、文献調査等により精査するとともに、理論研究を行った。加えて、各メンバーの個別研究を統合し、成果を発表するために研究会を3回オンラインで開催した。その研究会は「野の芸術」論研究会というかたちで公開し、現代民俗学会等の学術団体と共催することにより社会への研究成果の還元に努めた。また、国内学会等で発表、意見交換を行った。主たる研究実績は下記の通り。 ○2020.6.20:第1回研究会「破壊され、焼き尽くすための芸術―祭礼アートとしての造り物論―」開催○10.25:現代民俗学会第50回研究会において「民俗学をもっとひらこう」と題して発表○11.7:第2回研究会「死者と生者をつなぐアート―多様な慰霊を生み出す想像力と創造力―」開催○12.6:第3回研究会「農民文学/農村問題から民俗学史を拡張する」開催○2021.3.20:日本村落研究学会関東地区研究会にて、「パブリック・ヒストリーとは何か?」と題して発表。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1に、当該年度の研究活動により、ヴァナキュラー・アートという世界的に大きな潮流になりつつある重要課題について対象化し、その新しい概念を先駆的に日本へともたらすことができたため。 第2に、本研究は芸術(学)や民俗学を基礎とし、文化人類学、社会学、宗教学、建築学等の、多彩な学際分野の知見を多く吸収できたため。本研究で取り扱った課題は、狭く芸術(学)や民俗学に関わるのではなく、人文・社会科学のなかで脱領域的に問題化される重要課題であるといえる。その内容を、多くの学問分野と共有できたため。 第3に、コロナ禍という困難な状況下にもかかわらず、積極的に研究会をオンライン開催し、広く学術界に成果を還元できたため。その研究会は、現代民俗学会等の学術団体と共催開催され、さらに公開イベントとすることによりアカデミックの外側(extra-academic)の人びとへも成果を還元できた。これにより閉じた研究者の内部だけではなく、外部へと研究プロセスを開くことができ、議論へ多様なアクターの参画を促すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、さらに本研究を深化させるため、前年度に引き続き、まず、本研究メンバーが、個々のフィールドで生起しているヴァナキュラー・アートをめぐる実践を精査するとともに、理論研究も行う。次いで、各メンバーの個別研究を統合し、成果を発表するために、国内で研究会を開催する(2回開催予定)。 本年度は、コロナウイルス流行の問題もあり、可能な限りオンラインでの研究会開催とする。そこに各人の個別研究の成果を持ち寄り、議論を経ることによって、インタラクティブに成果を共有し、各人の研究にフィードバックする。さらに、これまでの海外での成果を吸収し、また、本研究を世界的な研究水準とすり合わせ、本研究の成果を海外へと発信する予定である。 ただし、本研究プロジェクトメンバー、およびその研究対象者等の安全を十全に確保するため、新型コロナウイルス感染症の流行状況を見極め、状況に応じてフレキシブルに対応する。
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