研究課題/領域番号 |
19H01399
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
丹羽 典生 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 准教授 (60510146)
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研究分担者 |
風間 計博 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (70323219)
渡辺 文 同志社大学, グローバル地域文化学部, 助教 (30714191)
小林 誠 東京経済大学, コミュニケーション学部, 准教授 (10771826)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | レジリエンス / 紛争 / オセアニア / 少数民族 |
研究実績の概要 |
研究初年度ということで代表者を含めた4人のメンバーの間で意見交換しつつ、研究調査と成果の公開をすすめた。海外調査としては、主たる調査対象であるオセアニアのフィジーで行った。フィジーの中でもそれぞれが担当する少数民族集落でのフィールド調査と関係者への聞き取り調査を適宜行った。代表者はフィジーの離島における少数民族のフィールド調査とあわせて南太平洋大学や同図書館にて関係資料の収集と閲覧を行った。国内では、アルバイトを雇用しつつ、これまでに収集してきた関係資料の整理・統合とデータベース化を進めた。主たる対象は、過去の研究論文、政府関連資料のほか、新聞記事で、それらを電子化して、整理することで研究メンバーの間で情報の共有化を進めることができた。 口頭発表等としては、研究分担者が主宰する国立民族学博物館の共同研究「オセアニア・東南アジア島嶼部における他者接触の歴史記憶と感情に関する人類学的研究」にて、1件の発表を行った。あわせて文化人類学会において、研究関係者と情報交換を行い今後の研究の進め方について意見を交わすのみならず、数多くの研究発表を拝聴することで研究課題と関連する研究課題についての知見を深めた。また論文などでは、代表者は論集とエッセイ集をあわせて2冊編集したが、それぞれには本研究課題とも間接的ながら関わる内容が含まれている。それ以外には分担者が短い論考3本、エッセイ4本程度刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
科研のメンバーで研究会を開催し研究計画と方針の確認を行った。あわせて研究代表者がこれまでの個人研究を通じて蓄積・データベース化していた研究資料をメンバーと共有することで、本プロジェクトを推進するにあたる基礎的な出発点を整備した。調査においては、研究メンバーが担当するソロモン系、ツバル系、バナバ系とそれぞれの少数民族コミュニティにおけるフィールド調査を行うことができるなど初年度としての課題は概ね遂行できた。その一方、年度後半を予定していた海外調査は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大に伴い、大幅に変更せざるを得なかった。研究分担者のひとりはキャンセル、もう一人も計画を大幅に短縮化するなど十全に行うことはかなわなかった。 研究成果の公開という意味では、7月27日に本プロジェクトメンバーで研究会を開催、また文化人類学会に参加することで関連情報の収集とメンバー間の意見交換を進めることができた。その一方で、こちらも新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて参加予定としていた日本オセアニア学会が中止となるなど本来の目標としていたことと比べればいまひとつの進捗となった。コロナ以外としても研究分担者のひとりが、家庭の事情で計画通りの調査の遂行がかなわなかった。すべてを総合的に勘案して、「やや遅れている」と判断した所以である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症のため先の状況が読めないので今後の研究の推進方策も立てにくい。しかしまずは可能な範囲で研究を進めていく。フィールド調査については、年度の後半を視野に入れ、大きな問題なく入国可能で調査可能な程度情勢が安定していたら行う。フィールドへの入国が難しい場合は、調査対象の関係資料が集積されている近隣の大国の大学や研究機関、あるいは植民地宗主国の国立公文書館などにて資料調査を行うこと計画している。しかしこれらの国も入国・調査に開かれた状況あるのかわからない。いずれも難しい場合は、研究に必要な機材や書籍・資料を購入することで本研究課題に関わる研究環境の整備をはかると同時に、文献資料中心の研究を代替的に進めていく。 文献資料中心の調査として主に念頭に置いているのは、先行研究に関わる調査としては、昨年度はオセアニアおけるエスニシティに関する研究書のシリーズが刊行された。それらには今研究課題とも関わる少数民族の論考も多く含まれている。研究メンバーの間で研究課題に関わる最新の研究成果の読解を通じて研究の精緻化と共有を図る。また研究代表者のもとには、これまでの研究を通じてオセアニアの紛争や少数民族に関する文献資料が大量にある。そこでこれらの資料のデジタル化を通じて研究メンバーと情報の共有をさらに一層推し進める。ひいては各メンバーの調査が重複することを避けることにつながり、文献調査推進の効率化をはかることになると考える。
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