研究課題/領域番号 |
19H01399
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
丹羽 典生 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 教授 (60510146)
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研究分担者 |
風間 計博 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (70323219)
渡辺 文 同志社大学, グローバル地域文化学部, 助教 (30714191)
小林 誠 東京経済大学, コミュニケーション学部, 准教授 (10771826)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 少数民族 / レジリエンス / オセアニア |
研究実績の概要 |
本年度分のプロジェクトにおいては、予算の繰り越しは行ったものの国内学会や研究会への参加及び海外調査を一件行うことが出来た。具体的には第56回日本文化人類学会研究大会(6月4日から5日)に参加し、関連する研究発表を拝聴、出席していた研究者と意見交換を行った。また中部人類学談話会第263回例会(11月12日)に参加した。こちらでは本研究課題とも関わるレジリエンスの概念に関する発表がなされ、参加することで概念の歴史的背景についての知見を深めることが出来た。海外調査については、フィールドにおける対面での調査は困難が予想されたため、関連資料の収蔵されるオーストラリアのキャンベラにおいて文書調査を行った。少数民族に関する文書資料を発掘して、閲覧・分析を行った。 研究発表等については、2021年11月15日に、本プロジェクト分担者である風間計博の主催する別の研究会(国立民族学博物館共同研究『オセアニア・東南アジア島嶼部における他者接触の歴史記憶と感情に関する人類学的研究』)と連携して、研究会をオンラインにて開催した。そこでは、小林誠「フィジー・キオア島の土地をめぐる不安の記憶と語り」他1件の計2本の研究発表を行った。いずれもオセアニアの少数民族やマイノリティと関連する発表であり、この発表を受けて科研のメンバーを含めた参加者は、オセアニアの少数民族の地域ごとの特徴について議論を行った。また研究会後に、科研のメンバーのあいだで今後の科研の進め方について意見交換をした。 書籍による成果公開としては、分担者による単行著(風間計博『強制移住と怒りの民族誌――バナバ人の歴史記憶・政治闘争・エスニシティ』明石書店)のほか、エッセイを1本刊行した(小林誠「記憶のツバル――島から生まれて島にかえる」『会報 ツバル』)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度も新型コロナ感染症の世界的拡大は収まる傾向が見られなかった。そのため、昨年度と同様に研究会やプロジェクトメンバー相互の情報交換については、基本的にオンラインでの開催を行った。学会や研究会の参加は1年繰り越した上で行った。海外調査については可能性を検討したが、最終的には予算を繰り越した上で1件のみ執行された。 したがって現在までの進捗状況としては、やや遅れていると判断した。理由は昨年度と同様本プロジェクトにおいて計画していた海外調査が新型コロナ感染症の拡大の影響のため、メンバーの全員が遂行できなかったことである。本プロジェクトの中心として、現地でのフィールド調査に基づく民族誌的状況を分析に反映されることにおいてきたが、そのことが達成できていないからである。 そのかわりプロジェクトのメンバーは、他の関連する研究会と連携した研究会を開催するなど、ひろく関連する情報を収集し、知見を深める作業を行った。またこれまでの各自の研究で収集してきた関連資料を洗い直すことで成果公開に向けたとりまとめを進めている。また関連する人類学やオセアニア地域研究の専門書を購入・閲覧することで、先行研究の洗い直しや、研究課題への理解を深める作業を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症の拡大にともない海外調査が難しくなっている点については、関連調査地域の状況を視野に入れつつ、行えるかどうか検討していく。現地でのフィールド調査を優先させるが、それに困難が予想される場合は、関連資料の収集されている研究機関・図書館や古文書館などでの調査をみすえる。 ただし現状を勘案するとそれでも一定の困難があると思われる。その場合は、関連した最新の研究書や論考から過去の民族誌的情報までの収集・閲覧を進める。また科研のメンバーのあいだで、これまで各自が集積してきた民族誌や文書データの整理とデジタル化を積極的にすすめることを通じて、研究を進めていくこととする。
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