研究課題/領域番号 |
19H01410
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山下 竜一 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (60239994)
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研究分担者 |
大田 直史 龍谷大学, 政策学部, 教授 (20223836)
中嶋 直木 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (20733992)
岸本 太樹 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (90326455)
亘理 格 中央大学, 法学部, 教授 (30125695)
高村 学人 立命館大学, 政策科学部, 教授 (80302785)
深澤 龍一郎 名古屋大学, 大学院法学研究科, 教授 (50362546)
米田 雅宏 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (00377376)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 人口減少 / 地域社会 / 住民サービス / 公共施設 / 環境 |
研究実績の概要 |
本研究は,人口減少社会において多様性のある地域生活を再生するための新たな視点として,①住民サービスのネットワーク化,②緑の公共事業,③公共施設のリスク管理を提示している。また,研究方法として,国内外の地域研究を重視し,仮説を検証・進化して新しい生活基盤整備法政策を構築しようとするものである。本研究には多面的分析が必要なため,①ネットワーク研究,②公共事業研究,③リスク管理研究を目的とする3つの研究班を作る。また,各班に,国内の地域研究を中心に行う者と理論研究を中心に行う者を配置し,各班で両研究の交流を図れるように組織する。さらに,各班の研究成果をメンバー全員が共有し,各研究を有機的に結びつけるため,全体研究会を開催する。本研究では,研究期間4ヶ年をおおよそ3つの段階に分け,本研究を進める。 初年度にあたる今年度は,これまでの日本の法政策のどこに支障があり何が足りないかを明らかにした上,本研究が提示する3つの視点が,従来の法政策に代替しうる新たな法政策の基盤となりうるかどうかの検証を行う第1段階の研究を中心に行った。具体的には,第1に、年度当初に第1回目の全体会合を開催し,本研究の目的・研究計画について確認した上,メンバーを3つの班に組織し,今後の計画について意見交換を行った。第2に,2019年秋に開催された日本公法学会総会において、山下が「縮小する社会における持続可能性法理の可能性と限界」というテーマで報告を行い,政府が進めている人口減少政策の構造を整理し,持続可能性法理の可能性と限界について検討を行った。第3に,年度終わりに第2回全体会合を開催し,研究分担者から「所有者不明土地問題の背後にあるアンチ・コモンズ問題」というテーマで報告していただき,2020年度に向けての研究計画について意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」欄でも述べたように,2019年秋に開催された日本公法学会総会において、山下が「縮小する社会における持続可能性法理の可能性と限界」というテーマで報告を行い,政府が進めている人口減少政策の構造を整理し,持続可能性法理の可能性と限界について検討を行った。この報告により,政府が進めている人口減少政策には,4つの柱があるが,規制緩和を維持しつつ一部で規制強化が見られるなど政策・手段間に不整合さがあることが明らかになった。また,本研究の3つの視点のうち,②緑の公共事業は,政府の人口減少政策に含まれているものの傍流に止まっていることも明らかになった。以上により,これまでの日本の法政策の限界・問題点はきわめて明確になったし,本研究が提示する3つの視点(特に②緑の公共事業)が,従来の法政策に代替しうる新たな法政策の基盤となりうることもある程度明らかになった。 さらに,本研究は,新しい生活基盤整備法政策の構築を目指しているが,当該政策の理念については、必ずしも明確ではなかった。この点,この報告を通じ,持続可能性法理も理念の1つとなりうることも明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,研究期間4ヶ年をおおよそ3つの段階に分け,本研究を進める計画である。初年度にあたる今年度は,第1段階の研究を中心に行ったが、今後は,研究メンバーが3つの班に分かれて国内外の地域調査を行い、そこから得られた知見を踏まえ、3つの視点に基づき新たな生活基盤整備法政策を具体化していく第2段階,最終成果を取りまとめる第3段階を計画している。 本年度において第1段階の研究はほぼ終了したため,今後の研究の推進方策としては,第1に、国内外の調査地域を確定し,調査方法や調査対象・相手を具体化する必要がある。第2に,中間成果の発表という位置づけでワークショップの開催を目指す。そのため,ファシリテーターを確定する必要がある。
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