研究課題
今年度は、双方未履行双務契約の再構成、及び、相殺期待保護の問題を、研究した。双方未履行双務契約 通説・判例のルールは、①契約が、同時交換型、信用供与型の複数の条項よりなる場合(通常の場合)は、適用不可能である(最判平成12年2月29日民集54巻2号553頁はそれを端的に示す)、②[解除+原状回復]構成を取るので、(a)相手方の既得的地位を不当に害する、(b)必要とされない原状回復に多大な時間と費用を要する、(c)信用供与の巻き戻しなど実体法上不合理な結果が生じる等の問題を生ぜしめる。これを解決するため、破産財団財産上に差押債権者の地位が成立し、その上で同時履行の抗弁権が保護されるとする見解(履行拒絶説)に基づき、双方未履行双務契約の規律を再構成すべきであると、結論づけた。民法改正で先送りされた、請負契約と双方未履行双務契約の問題も、請負には同時交換的要素と信用供与的要素のある点に着目して、解決策を提案した。相殺期待保護 合理的相殺期待を差押債権者の地位に対抗し得る相殺期待と定義し、相殺期待を民法型・担保型に分け、民法と破産法に共通の相殺期待保護の理論を構築した。なお、民法型・担保型の分類については、両者をほぼ同一の概念と見る見解と、明確に分ける見解が対立した。破産法71・72条2項2号の「前に生じた原因」と民法511条2項の「前の原因」を民法の相殺予約の理論に基づき定義し、破産法67条1・2項と民法511条1項の「債権」を相殺予約の理論と民法型相殺期待の理論に基づき定義した。次に、相殺期待保護に関する具体的事例を民法・破産法の双方の立場から検討した後、相殺権の濫用論を検討した。最後に、相殺期待保護の効果、とりわけ「強い無制限説」を実現するための法的手段につき、検討した。いずれのテーマについても、平時実体法と倒産実態法の連続性のアプローチから、問題を解決できた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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事業再生と債権管理
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