研究課題/領域番号 |
19H01436
|
研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
谷口 洋幸 青山学院大学, 法学部, 教授 (90468843)
|
研究分担者 |
金 成恩 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 助教 (00723884)
國分 典子 法政大学, 法学部, 教授 (40259312)
松井 直之 愛知大学, 法務研究科, 准教授 (60468858)
山下 梓 弘前大学, 男女共同参画推進室, 助教 (60762094)
鈴木 賢 明治大学, 法学部, 専任教授 (80226505)
廣江 倫子 大東文化大学, 国際関係学部, 准教授 (90361849)
谷口 真由美 一般社団法人部落解放・人権研究所(調査・研究部), 企画・研究部, 非常勤研究員 (90388653)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | LGBT / 人権 / 東アジア |
研究実績の概要 |
東アジア諸国のうち対象とする韓国(主に國分が担当)・台湾(主に鈴木・松井が担当)・中国(主に鈴木・松井が担当)・香港(主に廣江が担当)についてLGBT関連の法政策および判例の現状を調査・分析し、成果の共有を行った。それぞれの国と地域において、(a)同性同士の関係性に関する法的保障、(b)性別記載の変更に関する法政策、(c)性的指向や性自認にもとづく差別禁止に関する立法・判例状況の3点を比較軸として設定し、調査・分析を行った。また、それぞれの比較軸について、日本の法政策や判例の状況についても現状分析を行った(主に谷口(洋)が担当)。さらに、これらの動向に影響を与えている要因の一つとして、国際人権法における議論についても併せて検討した(主に山下・谷口(真)が担当)。 結果、多くの共通点を確認することができた。たとえば、国際社会の流れに呼応する形で、同性同士の関係性について一定の権利保障の進展がみられること、性別記載の変更要件を緩和していく動きが判例や行政手続きにみられることなどである。その過程では、市民社会を中心として、LGBTに関連する人権保障のための国際的な連帯が重要な役割を果たしていることも確認できた。同時に、それらの変化の背景となる法制度の基盤や人権に関する認識、歴史的な事情など、俯瞰的な考察が必要であることが明らかとなった。たとえば、憲法判断に関するシステムとその法的・社会的影響力の違い、学校教育におけるカリキュラムや教育内容の自由度の違い、裁判が社会制度や社会の意識に与えるインパクト、政治情勢に関係する人権や自由の制限状況などである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LGBT関連の法政策および判例の現状を調査・分析する過程において、当初は現地に渡航し、研究者や実務家、市民社会の関係者への直接的な接触を検討していた。この点、COVID19の感染拡大により渡航が不可能となったため、当初の予定を大幅に変更せざるを得なくなった。しかしながら、オンラインを活用して調査・分析を進める中で、直接的な接触から得られると予測された内容と遜色ない成果を得ることができ、また、オンラインの利点を活かした予想外の繋がりも得ることができた。一部の地域では、社会情勢との関係でオンラインでのアクセスも困難な状況が続いているものの、おおむね当初の計画どおり進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた成果を踏まえて個別に研究論文や研究発表を行うことを予定している。あわせて韓国・台湾・中国・香港のLGBT関連法政策に関連する知見を広めるため、オンラインのイベントや国際シンポジウムの開催を企画している。また、個別の論文や研究発表、イベントやシンポジウムを終えた後に、それぞれの内容をまとめた書籍の刊行も企画している。
|