研究課題/領域番号 |
19H01445
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
曽我 謙悟 京都大学, 法学研究科, 教授 (60261947)
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研究分担者 |
早川 有紀 関西学院大学, 法学部, 准教授 (20775853)
北村 亘 大阪大学, 法学研究科, 教授 (40299061)
伊藤 正次 東京都立大学, 法学政治学研究科, 教授 (40347258)
砂原 庸介 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40549680)
青木 栄一 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (50370078)
河合 晃一 金沢大学, 法学系, 准教授 (50746550)
関 智弘 熊本県立大学, 総合管理学部, 講師 (60796192)
小林 悠太 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 助教 (30824263)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中央省庁 / 組織 / 権限 / 予算 / 情報 |
研究実績の概要 |
本研究は,長期間にわたり複数省庁を対象とした観察データを収集し,時系列と省庁間比較の二つを用いることで,日本の省庁の姿を描き出すことを目標としている.4年間の研究機関の2年目にあたる2020年度においては,初年度に設定したデータ収集方針に基づき,実際のデータ収集と入力を進めるとともに,若干の予備的分析を介することとしている. したがって,まだ本格的な分析には至っておらず,公表業績ともなっていないが,予備的分析の結果からは,日本の省庁における組織リソースと政策活動を,権限,金銭,人員,情報の四つの資源ごとに見た際,資源ごとの整合性がとれている省庁は少ないことが示されている.そしてまた,こうした傾向は2010年代に入ってから一層強まっているように見える. ただし現在のところ,これらの資源ごとの保有する資源量と政策活動の整合性の低下の傾向は,省庁によって,またリソースごとに多様な形態をとっているということがわかっているに過ぎず,それを説明する要因が何かということは未解明である. 現在までに行ってきた分析からも,その時々の政権の状態(支持率等々)であったり,行政機関が保持する信頼の程度や評判の高さなど,比較的短期的な要因の影響もありうるものの,より長期的な構造的な要因,すなわち政策領域ごとの顧客の増減の傾向であったり,政策の対象となる集団の組織化や数といったものも同時に影響を与えていることがうかがえる. これらの研究から,日本の中央省庁が環境変動のもとで対応を見せている姿が数量的に理解されつつある.これらの予備的分析の成果は,2021年度以降の研究において,より充実させたデータセットのもとで,本格的な分析を行う基盤となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究メンバーの多くが,新型コロナウイルス感染症への対応として,とりわけ教育業務などに時間と労力を取られ,当初予定していたような研究を進められなかったことは,率直に言って認めなければならない.また,データの収集と入力などにおいて,学部生をアルバイトの形で従事してもらい,研究補助を行ってもらう予定だったが,年度の前半においてはそれができなかった. 予算の繰り越しは行わず,文献の検討など物品購入を前倒しして対応しつつ,在宅勤務でも可能な研究の遂行に努めたところではある. しかし総じて,年度当初に予定していた作業を終えられたかといえば,積み残しは多くあるということを,やはり認めなければならないと考える.
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今後の研究の推進方策 |
入力,処理すべきデータが多く残っている.例えばテキストデータの処理を行う上での前処理となる作業などが研究補助を要するところであるが,これらを学生の研究補助で行えないようであれば,業者に対して業務を委託する形で進めることについても検討が必要であろう. 研究分担者間での連絡調整については,対面での研究会などを開催せずとも,オンラインで十分に進められることがわかってきたので,この点については問題はなくなってきた. 2021年度は,研究分担者ごとに収集してきたデータセットを接合していく作業がある.分析を間違いなく進めていけるようなデータセットとなるよう,研究協力者の手なども借りつつ,試行と調整を繰り返す時間を十分にとる予定である.
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