研究課題/領域番号 |
19H01446
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
永井 史男 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (10281106)
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研究分担者 |
岡本 正明 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (90372549)
菊地 端夫 明治大学, 経営学部, 専任教授 (40515920)
安部 鶴代 (船津鶴代) 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター環境・資源研究グループ, 主任研究員 (60450483)
西村 謙一 大阪大学, 国際教育交流センター, 准教授 (40237722)
籠谷 和弘 関東学院大学, 法学部, 教授 (70313351)
小林 盾 成蹊大学, 文学部, 教授 (90407601)
河野 元子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (80552017)
長谷川 拓也 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携研究員 (50760534)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 政策波及 / 政策起業家 / 地方自治 / 中央地方関係 / 東南アジア / タイ / フィリピン / インドネシア |
研究実績の概要 |
令和1年度は当初の計画では国内で共同研究会を数回開催するとともに、夏休み中もしくは冬休みから春休みにかけて、現地で予備的調査を行う予定であった。 国内の共同研究会は令和1年度に4回(令和1年5月、10月、11月、令和2年3月)実施した。第1回研究会では研究目的や研究計画についてのコンセンサスをメンバー全員で共有し、第2回研究会では政策波及理論やセオドア・ローウィの政策類型についての検討を行った。第3回研究会では2013年に実施したタイ自治体エリートサーヴェイの資料を使った政策波及事例について予備的な検討を行い、第4回研究会ではタイ地方自治体に特有の現象である「格上げ」の普及について、報告を行った。また、インドネシアにおける廃棄物処理方法についての文献に基づく報告も行われた。 しかし、海外での予備的調査は研究分担者2名によるタイとインドネシアにおける調査が令和2年2月と3月にそれぞれ実施できたにとどまった。新型コロナウィルスが東南アジア全域に広がり、現地の研究パートナーから協力が得られないことが明らかになったため、令和2年2月から3月にかけて行う予定だった現地調査が軒並み延期を余儀なくされたからである。 そこで、令和1年度の研究実施計画を半年間延長し、令和2年7月に上記研究者による現地調査報告を検討するため共同研究会を開催したが、新型コロナが収束する見込みが一向に見えず、現地調査の実施は延長期間中も断念せざるをえなかった。 なお、令和1年7月には、本研究プロジェクトの母体となった東南アジア自治体サーベイの商業出版に漕ぎつけた。本研究プロジェクトのほとんどのメンバーがこの和書に寄稿している。また、令和1年5月には、フィリピンのマニラで開催されたアジア行政学会の年次大会にもプレナリー・セッションに招待出席し、東南アジア自治体エリートサーベイの報告を行い、高い評価を受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で述べたように、令和1年初めから日本、東南アジアをはじめ世界的に新型コロナが流行し、海外渡航が大幅に制限され現地のカウンターパートからの支援も期待できる状況にはないうえ、PRC検査や現地ホテルでの待機を踏まえたとしても現地調査を行える状況にはなかったため、研究計画の実施がきわめて困難になった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は初年度である令和1年度に予備的な現地調査で政策波及に関する具体的テーマを絞り込み、共同研究会で分野間の調整や分析枠組みを精緻化したうえで令和2年度に進める予定であったが、上記の「現在までの進捗状況」で触れたように、この構想に基づく研究遂行が難しい状態に直面している。この状況は本研究実績報告書案を執筆している令和3年5月の時点でも劇的に改善しているとは言えず、令和2年度についても同じことがあてはまる。 そこで、海外での現地調査ができないという前提で、政策波及の理論研究や東南アジアにおける政策波及に関する具体的な研究に従事している研究者や、開発援助機関で東南アジアの中央政府や自治体をカウンターパートに政策波及の実践に関わっている実務家を研究会の講師役として招き、意見交換を勧めつつ、理論的な研究を深める研究会を実施する。また、こうした講師役を招いた研究会は日本だけでなく海外でも実施可能なので、東南アジア現地の実務家や研究者を講師役として招き、政策波及に関する研究会を実施することのも有益であると考えられる。 とはいえ、新型コロナに関しては、ワクチンの接種が広がれば、現地調査の実施も十分ありえるので、研究計画を多少延長しても、現地調査を踏まえたうえで当初の研究目的を達成したいと考える。
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