研究課題
東アジアの周縁に位置する主体(台湾・沖縄)の秩序認識を参照しながら、「<周縁>からの間主観性に基づく国際秩序」について考察した。<周縁>に生きる国家・地域の多様な主体が、大国中心の国際秩序と相補的かつ安定的な関係を模索してきた。西欧近代型の大国中心の国際秩序史とは異なる東アジアの周縁秩序の歴史的考察と、大国間の力の関係で説明されてきた旧来の国際理論に対し哲学の存在論の次元から批判的考察を加えた。具体的には、前者の歴史的考察では、台湾を中心に公的な立場の者による公式見解(外交文書を含む公文書、公人の私文書)を検証すると同時に、沖縄の戦後史の中での言論人・知識人人の秩序認識について研究協力者の知見を借りて討論した。その結果、既存の国際秩序に「隠された真意」として周縁における間主観の所在を明らかにした。理論的考察については、大国主導による国際秩序は、力と力の関係を法則化した古典物理学の存在論に支配されており、周縁からの間主観性は、さまざまな主体の意識(mind)であるという仮説を立案し、量子論的社会学・政治学についての論点を提示した。(ⅰ)ナショナルアイデンティティをも内包する歴史研究、(ⅱ)国際秩序認識の量子論的研究、(ⅲ)歴史認識の方法論を主要項目とするこれらの研究成果は、沖縄調査・ヒアリング・研究会、台湾で主催したワークショップを経て集大成し、2023年12月に企画主催した日本、中国・台湾、韓国16大学研究者による「アジア人文社会フォーラム」で公開した。これらの成果は、本邦初の本格的な量子論的社会科学の理論研究として著書として公刊予定であるほか、「<周縁>からの現代東亜学の創生」の共通課題の下での東アジアにおける日中・台韓の共同研究に発展的に継承する。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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ワセダアジアレビュー = Waseda Asia review
巻: 25 ページ: 28-31
21世紀東アジア社会学
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東南アジア研究
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日本の進路
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『21世紀東アジア社会学 特集号』 11 21-30, 2022
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