本研究では、東南アジア3カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン)に到来したサラフィズムの受け入れについては、均一なものではなく、国家の役割で違いが出ており、それはサラフィズムそのものの影響というよりも、既存の国家と社会との関係において拡大の方向と範囲が変わるものであることを明らかにした。しかし、2年半に及ぶコロナ禍で海外調査が困難な状況に陥り、コロナ禍収束以降の半年ほどでのデータ収集は特殊時のデータとなりこれも難しい状況になった。今後の課題としては、現代の課題(例えば地球温暖化や貧困の解消など)に取り組むイスラム教育の役割を研究することで実用的な政策提言も可能になるだろう。
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