研究課題/領域番号 |
19H01463
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
月村 太郎 同志社大学, 政策学部, 教授 (70163780)
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研究分担者 |
廣瀬 陽子 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (30348841)
妹尾 哲志 専修大学, 法学部, 教授 (50580776)
東野 篤子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60405488)
末近 浩太 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70434701)
岩坂 将充 北海学園大学, 法学部, 准教授 (80725341)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 東地中海地域 / 安全保障 / 紛争 / 記憶化 |
研究実績の概要 |
2020年度から21年度にかけては、収集した出版資料(ネットにおける資料も含む)や現地研究者などとのWebを通じた情報交換が中心的な研究活動となった。まずバルカン地域については、ボスニアと隣国の二国間関係における歴史的記憶が、国境を跨がって居住する民族分布によって一層安全保障化されやすいことが分かった。次にEUおよびヨーロッパ国際関係の観点からは、現在の欧州と中国との関係が目に見えて悪化し、一部欧州諸国(とくに中・東欧諸国)の台湾接近が目立っている為に、歴史の安全保障化は政治的アジェンダとして一時後退しているが、2021年末から現在にかけてのウクライナ情勢の激変により、再び歴史問題の前面に出てきている。そして、ロシア及びコーカサスについては、アルメニアとアゼルバイジャンにおける第二次ナゴルノ・カラバフ戦争の勃発、ロシアによるウクライナ侵攻によって、地政学的状況が大きく変容し、その際にもかつての歴史がしばしば利用されているという現実がある。第四にドイツ外交については、記憶をめぐる問題に関連して、戦後ドイツとヨーロッパの関係、ヴィリ・ブラントに関するドイツ国内の議論、独米関係に関して考察し、ドイツにおける不戦の理解などを明らかにした。またレバノンについては、党派化したマスメディアについて、内戦の記憶がどのような条件で、どのような程度で惹起されるか、計量テキスト分析の手法で分析し、党派間の分断が進む時期に他の政治勢力を批判するために内戦の記憶が利用されてきたことを明らかにした。最後に、「北キプロス・トルコ共和国」に対するトルコのエルドアン政権のアプローチの変化において、キプロス紛争の記憶がどのように利用されてきたかを、同政権の右傾化と重ね合わせつつ、双方の報道や議会資料等をもちいて考察した結果、同一政権によっても記憶の利用の仕方が変化することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の中心的な研究活動は、現地調査であったが、新型コロナ感染症の蔓延の為にそれが思うようにできなかった、研究期間を実質的に1年間後ろ倒しにしたが、蔓延のレベルは変わらず、研究対象国や機関の受け入れ状況、更に帰国後の各本務機関における円滑な本務復帰の困難さから、現地調査ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
内外の新型コロナ対策の変化、緩和によって現地研究調査が可能となりつつあるので、本研究課題の本来の研究活動に段階的に復帰できるものと考えている。
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