研究課題
学校選択制マッチングにおいて、学校側の生徒に対する優先順位が不完備情報である場合のモデル化を行った。その際、生徒側にはコストのかかるサーチを行えば自分自身の優先順位を知ることができる場合とできない場合を考察した。それぞれの場合において、生徒数は任意のNだが学校の数が2の場合について、マッチング方式が受入保留方式および即時受入方式のそれぞれで、サーチを行わず真実表明することが支配戦略となるための必要十分条件を導き出した。このモデルの分析結果を基に、被験者を集めて実験室実験を実施した。実験においては、学校側の生徒に対する優先順位が(1)完備情報である場合、(2)不完備情報であると共にサーチの機会がない場合、(3)不完備情報であると共にサーチの機会がある場合の3通りの情報上の条件を設定した。また、それぞれの情報上の条件の下で、マッチング方式が(1)受入保留方式、あるいは(2)即時受入方式の場合を設定した。なお、どの組み合わせの設定においてもサーチを行わず真実表明することが支配戦略となるような利得構造を設定した。なお、コロナ禍のために実験はオンラインで実施し、アマゾン・ギフト券を報酬として用いた。実験結果は次の通りであった。サーチをするか否かの選択については、即時受入方式における方が受入保留方式におけるよりもサーチを選ぶ割合が有意に高かった。真実表明の比率については、いずれの情報上の条件の下でも、受入保留方式における方が即時受入方式におけるよりもその比率は高かった。また、情報条件ごとに見ると、どちらのマッチング方式についても、不完備情報の場合の方が完備情報の場合に真実表明の比率が高いことが分かった。本研究成果は英文論文としてとりまとめ、著名な国際会議に現在応募中である。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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