研究実績の概要 |
今年度は一昨年度の計画1,昨年度計画2の結果を踏まえて、計画2の本実験を行うとともに,研究計画3の実施を目指した. 研究計画3では,世代間過程に着目する.格差の拡大や固定を議論する上で,前世代から引き継いだ格差に対して現世代がどのように振る舞うのか,という点は今日の格差を考える上で,特に重要になると考える.研究計画2では,同一世代内での横のつながりによる格差の拡大・縮小を論じたが,研究計画3では,世代をまたいだ縦のつながりに着目する.具体的な実験としては,第1世代集団,第2世代集団,第3世代集団…と,集団を形成し,第1世代集団(「親」世代)で研究計画1や研究計画2のような手法で格差を出現させたうえで,第2世代の「子」世代(ランダムに「親子関係」は決定する)に資源が移譲される.それを繰り返す中で,格差はより拡大するのか,縮小するのかを検討するのが,研究計画3の目的である.ダイナミックな過程を扱うため予想は難しいが,「親」が築いた財を「子」がどのように認知するのか,より具体的には,「運」によるものとして認識するか,「実力」によるものと認識するのかで,格差の拡大の速度は変化するだろう. 2021年春にプレ実験を行った.その時の情報をもとに,2022年1月に200人単位の実験室実験を行い,そのデータをもとに2000人単位のオンライン実験を行う予定であったが,オミクロン株の感染爆発で実験室実験,および,オンライン実験を来年度に延ばさざるを得なくなった.その準備として,規模を縮小した実験室実験,オンライン実験を2022年1月,2月に行った.
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