研究課題/領域番号 |
19H01474
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤原 賢哉 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (30229067)
|
研究分担者 |
善如 悠介 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (10754682)
西尾 圭一郎 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (20453368)
小早川 周司 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (20830722)
若森 直樹 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 講師 (50770921)
地主 敏樹 関西大学, 総合情報学部, 教授 (60171089)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | デジタル社会 / キャッシュレス統計 / フィンテック / 消費者余剰・生産性評価 / プラットフォーマー / 諸外国の普及プロセス / 消費者教育・リテラシー / 中銀デジタル通貨 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトは、普及が予想されるキャッシュレス化に伴い、①実態把握のための統計整備・構築と、②それを用いた学術的な研究(消費者の行動変容、利便性や生産性向上、プラットフォーム規制、金融政策あり方等)の促進を目指すものである。支払い決済サービスは、経済活動を支える社会インフラのひとつであり、キャッシュレス化の進展は、単に支払い手段だけではなく、経済活動全体のデジタル化・IT化を促進し、わが国の経済構造のあり方に大きな影響をもたらす可能性がある。 2019年度の研究実績としては、まず、①の統計整備・構築に関しては、匿名化された家計調査パネルデータ(2018年11月~2019年10月分まで、モニター数2万人、取引件数300万)を購入し、支払い決済手段の選択、購入対象および金額、店舗・業種・地域・属性・時期(還キャッシュレス還元と消費税増税の影響)等ついて調査・分析を行った。また分析までは至っていないものの、1)前回消費税引き上げ時(1994年)の家計調査データ、2)携帯の移動端末を用いた人流データを購入し、多様な観点からの統計整備に努めた。②については、上述の消費者の支払い手段の分析(各種の還元策等の影響等含む)のほかに、キャッシュレス普及プロセスの国際比較、デジタルプラットフォームに関する理論実証研究、金融のアンバンドリング化の既存銀行への影響、中銀デジタル通貨とステープルコインの効果・影響、キャッシュレス化における経済教育のあり方について研究を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
キャッシュレス統計の整備および関連した研究(実証・理論双方)について順調進んでいる。家計調査パネルデータについては、これまでの日本のマクロ統計(日本銀行等)にない特徴(頻度、個票、購入対象と金額、地域・年齢・性別)を有しており、消費者の行動の理解、各種の政策介入の評価(DID分析)等を行う上で、強力なツールとなりうる。キャッシュレス決済に関するミクロ統計といった側面だけでなく、デジタル社会における統計のあり方という観点からも貢献できると考えている。なお、一部の実地調査(民間企業との実証実験含む)や研究成果の発表については、コロナウィルスの影響により、延期や中止等となったが、次年度以降において対応可能と考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
家計調査パネルデータについては、2020年度においても継続購入(2019年11月~2020年10月)の予定であり、マクロ経済的なショック(消費税の影響、還元政策終了、コロナウィルス(急速な経済低迷、消費者の行動変容等、非接触サービスへの需要)の影響についても調査する予定である。また、キャッシュレスの普及プロセスや消費者の反応(感情)を見るため、キャッシュレスに関するSNSデータの整備およびその分析も行う予定である。キャッシュレス化については、研究目的のところでも述べたように、経済社会のIT化の流れの中で評価すべきものであり、キャッシュレスのユースケース(非接触性、各種申請や給付のデジタル化、モバイルオーダー、寄附・投げ銭、本人確認手段としての活用等)についても研究を進めていきたいと考えている。なお、研究の打ち合わせやシンポジウム等については、オンラインシステム等の活用を考えている。
|
備考 |
(1)については、新型コロナウィルスの影響により開催延期となった。
|