研究課題/領域番号 |
19H01478
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
雲 和広 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70314896)
|
研究分担者 |
道上 真有 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (30527693)
武田 友加 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (70376573)
五十嵐 徳子 天理大学, 国際学部, 教授 (80294156)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | q |
研究実績の概要 |
本研究はロシアの家計調査データRussia Longitudinal Monitoring Surveyとミクロヒストリーとを利用しロシアの人口動態規定要因を抽出・特定することを目的とする.その進行は下記の段階を踏む.即ち,(1)研究グループ単位での利用を可能とした契約によるRLMS個票データの獲得;(2)文献調査による人口動態規定要因の再精査;(3)データクリーニング;(4)試論的モデルの設定と分析;(5)マクロ・セミマクロデータとの整合性チェック;(6)ミクロヒストリーによるデータの補強;(7)分析モデルの再構築と再分析;(8)成果のとりまとめと公表,という8段階であり,結果の獲得までには(4)~(6)の段階を繰り返すが,必要に応じ(3)のデータクリーニングに立ち戻る事にもなる. このうち,令和元年度には(1)~(3)を順調に進め終えた.つづく令和2年度は(4) 出生要因・死亡要因の試論的モデル設定,試論的モデルの分析,試論的モデルの再設定と再分析,(5) マクロ・セミマクロデータの分析,マクロとミクロの整合性チェック,個人史調査質問票作成,現地機関との折衝・個人史調査を行い,令和3年3月までに冬季のみ実施可能な個人史調査委託,個人史調査データの電子化,個人史調査のデータクリーニング,年度研究のとりまとめを行う予定であった. (4) 出生要因・死亡要因の試論的モデル設定,試論的モデルの分析,試論的モデルの再設定と再分析,(5) マクロ・セミマクロデータの分析,マクロとミクロの整合性チェック,については実行出来たが,しかしながら新型コロナウイルス感染症による影響で個人史調査が不可能となり,その状況は令和3年度も継続した.新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着いた令和4年度に至って,ようやく調査に先立つ方針の摺り合わせが出来た次第である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画3年度目においては,査読付欧米英文学術雑誌Sustainability, 等総計7本,英文書籍所収論文を1本刊行した. そして初期の計画にあったうち,ミクロヒストリーデータの収集は令和2年度に引き続き,令和3年度を跨いで,新型コロナウイルス感染状況の拡大のため実行することが出来無かったのは「研究実績の概要」既述の通りである.現地調査の前段階としての議論を行うことはようやく,物理的な渡航制限を回避することが出来るようになった令和4年度に実施出来,それを受けた調査の事前準備を行うことが出来た. 新型コロナウイルス感染症の影響は甚大であり,本研究の進捗には大きな否定的効果があったことは否めないことを明記しておく.
|
今後の研究の推進方策 |
繰越を経て,新型コロナウイルス感染状況が安定化したことにより,(6)ミクロヒストリーによるデータの補強を展望することが出来るようになった.しかしながらここで出てきた問題として,調査委託機関都合により送金の目処が極めて立ちにくくなったという状況がある.更に海外研究協力者であるロシア連邦統計局人口統計課長等の助力を頂くことや,ロシア連邦統計局等でのヒアリングを実施し現状把握を行う事も先方の事情により極めて困難となっている. これを打開するために,(6)のミクロヒストリー調査に関わる費用の受け渡し方法を再考し,令和4年度完成予定であった研究を令和5年度に延長した.それによってミクロヒストリー調査を実現し次第,大規模個票データ分析の結果を補完し,その具体性を詳らかにすることに努める.これはこれまで本研究メンバーと共同研究を行ってきた海外研究協力者であるロシア科学アカデミー社会政策研究所所属研究者及び同地理学研究所T. Litvinenko氏等と共に,社会学的調査の経験を持つ五十嵐・道上が中心に行うが,Litvinenko氏とは中央アジアでの情報のやり取りを実現出来ることが確認出来ており,その方針で進める. 本研究の完了段階としての(7)(8)の,最終的な分析の整備・統合と,成果物の公表とがあるが,これは予定通りこれまで研究代表者と研究を行ってきた海外共同研究者であるE.Selezneva(ドイツ・東欧南東欧研究所主任 研究員)及びT. Karabchuk(アラブ首長国連邦大学講師)と共同で最終分析結果を確認する.とりまとめた研究成果は日本語・英語・ロシア語で作成し,我が国及び海外への積極的な発信を行う.以上のように計画している.
|