研究課題/領域番号 |
19H01481
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神事 直人 京都大学, 経済学研究科, 教授 (60345452)
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研究分担者 |
伊藤 匡 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (40550413)
鎌田 伊佐生 新潟県立大学, 国際産業経済研究センター, 教授 (40749503)
稲田 光朗 宮崎公立大学, 人文学部, 助教 (90750456)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 直接投資 / 国際協定 / 労働市場 / 商社 / 対内直接投資誘致政策 / 政策的不確実性 |
研究実績の概要 |
2019年度に実施した研究の実績の概要は次の通りである。 (1)対内FDI誘致政策の異質な効果:中国の対内FDIと誘致政策に関するデータを用いてFDI誘致政策の効果を実証的に検討した。具体的には、対内FDIを新規投資と既存事業の拡大に分け、中国政府が実施した対内FDI誘致政策のうち、参入規制緩和と誘致産業目標設定がそれぞれどちらのタイプのFDI誘致に効果があったのかを分析した。研究成果をディスカッション・ペーパーとして公表した。また、この成果を日本国際経済学会第78回全国大会、および中国経済経営学会2019年度全国大会で報告し、コメントを受け改訂を進めた。国際学会での報告も予定していたが、コロナウイルスの世界的感染拡大のため中止となった。 (2)対内FDIと投資受入国の国内労働市場との関係:対内FDIと投資受入国の国内労働市場との間の双方向の関係について、ホスト国側のマクロ・レベルのデータを収集し計量分析に必要なデータセットを整備するとともに、それを用いた予備的分析を行った。またその結果につき国内外のカンファレンスにて発表した。 (3)対外FDIにおいて商社が果たす役割:企業の生産性とFDIの所有形態の関係を理論的・実証的に検証し、研究成果をディスカッション・ペーパーに取りまとめた。 (4)国際協定の締結がFDIに与える効果:日本企業の対外FDIに関する企業レベルのデータと、日本がこれまでに締結した二国間投資協定および経済連携協定の投資章に関するデータを用いて、政策的不確実性がFDIに与える効果を分析した。FDIに関する政策的不確実性を産業別に捉えられるように、独自にデータベースを構築した。研究成果をディスカッション・ペーパーとして取りまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度は計画していた研究を順調に遂行することができた。各研究テーマに関して、データの整備と分析手法の検討、ならびに予備的な分析を行うことを計画していたが、成果をとりまとめて、年度内に数本のディスカッション・ペーパーを公表するまでに至った。また、国内外の研究会や学会、コンファレンス等で研究報告を行うこともできた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は次の通りである。 (1)対内FDI誘致政策の異質な効果:当年度に国内学会で報告した際に受けたコメントを基に論文を改訂する。さらに国際学会での報告を行って、論文の内容をさらに高めて査読付国際学術誌への投稿を進める。 (2)対内FDIと投資受入国の国内労働市場との関係:当年度の予備的分析の結果について論文にまとめ、国際査読誌への投稿をはかっていく。また、当年度の予備的分析について対外報告で得られたフィードバックを踏まえ、分析手法の改良と拡張について検討するとともに、必要なデータの拡充と整備を行う。 (3)対外FDIにおいて商社が果たす役割:国際査読誌への掲載を目指して、当年度に執筆した論文の改訂作業を行う。また、共同出資を考慮したFDIの理論に金融制約を加え、企業の生産性と外国直接投資の所有構造の関係が金融制約によりどのような影響を受けるのかを検討する。 (4)国際協定の締結がFDIに与える効果:当年度の研究成果を国内外の学会等で発表し、他の研究者からのコメントを求め、それに基づいて論文の改訂を行う。その後、国際査読誌へ投稿する。また、分析の拡張を行い、次の論文を執筆していく。
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