研究課題/領域番号 |
19H01486
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
乾 友彦 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (10328669)
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研究分担者 |
児玉 直美 日本大学, 経済学部, 教授 (10573470)
小橋 文子 青山学院大学, 国際政治経済学部, 准教授 (30528922)
金 榮愨 専修大学, 経済学部, 教授 (50583811)
権 赫旭 日本大学, 経済学部, 教授 (80361856)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 企業ダイナミクス / 国際調達 / 生産性 / IT化 / グローバル・サプライチェーン / 非関税障壁 |
研究実績の概要 |
日本企業の企業データ、国内事業所データ、海外事業に関する政府統計を企業レベルによってマッチングすることで、企業-国内事業所-海外事業といった企業活動全体を視野に入れた分析が可能なデータベースを作成した。中間財の国際調達が企業の生産性に与える効果を分析した結果、企業の生産性にはプラスの効果があるものの、事業所の生産性には効果がないことが判明した。次に中間財の国際調達が事業所や企業の輸出行動に与える影響を計測したところ、事業所及び企業の輸出の開始、輸出金額の増加にプラスの効果が得られた。また中間財の国際調達には、国内の事業所、企業の雇用へのマイナスの効果は認められなかった。すなわち、日本の場合は企業の中間財の国際調達が生産性を上昇させ、国際市場におけるコスト競争力を高める一方で、雇用を減少させるようなマイナスの効果は観察されなかった。 企業レベルのミクロデータを私用して、クラウドコンピューティングの導入が企業の生産性、売上、従業者数、事業所数等のパフォーマンスに与える効果を分析した。その結果、クラウドコンピューティング導入は企業の売上を伸ばし、生産性を高め、企業の海外展開を加速させることが判明した。 世界各国の産業別に非関税障壁のデータベース及びグローバル・サプライチェーンにおける位置づけのデータベースを作成した。このデータベースの利用して、非関税障壁の形態の差異がグローバル・サプライチェーンにおける中心性に与える影響を分析したところ、非関税障壁の形態が貿易相手国と異なるほど、中心性に与える影響がマイナスであることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本企業のグローバル化と企業ダイナミクスの関係を様々のデータベースを組み合わせることによって、包括的な分析することが可能になった。 クラウドコンピューティングの導入等が企業ダイナミクスに与える影響の分析を開始した。 各国、各産業のグローバル・サプライチェーン内における位置づけと非関税障壁の形態との関係について分析を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
企業ダイナミクスのパターンとその影響に関する国際比較に焦点を当ててファクトファインディングを主に行う。 特に日本、韓国、中国企業のグローバルサプライチェーンへの参加が企業内の事業所の開業、廃業に与える効果を分析する。またIT化が日本企業の生産性に与えた効果について研究を進める。
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