研究課題/領域番号 |
19H01487
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大久保 敏弘 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (80510255)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自然災害 / 企業の存続 / 空間経済 / 国際貿易 / 創造的破壊 / GIS / 企業の異質性 |
研究実績の概要 |
空間経済学的な側面から災害の経済学を分析した。自然災害による企業の被災を指数化し空間経済的な手法やGISを用いて研究した。関東大震災に関して、横浜市における企業の被災と復興に関して、Okazaki et al.(2019)としてJournal of Economic Historyに刊行し、阪神大震災に関して神戸市の企業に関して、Cole et al.(2019)としてJournal of Economic Geographyに刊行した。 さらに研究を継続して、関東大震災における横浜市内の中小企業のミクロレベルの被災データを作り、さらに銀行との取引関係や日銀の政策(震災手形)がどう企業の存続や成長に影響したのかを検証し、Okazaki,et al.(2020)として、一旦論文にまとめ慶應のDPとして刊行した。継続し研究をすすめる。さらに伊勢湾台風に関して、名古屋市内の企業に関して、被災と復興を分析した。浸水日数の地図を用いてGISを駆使し、個々の企業の浸水日数を計測し被災データを生成し、空間計量経済にて計量分析した。Okubo and Strobl(2020)として、中間段階でDPとしてまとめており、次年度以降も継続する。 国際経済学的な側面に関して、災害や政治的リスクの多い中、自由貿易協定がどう国際貿易を安定させるのかを検証した。日欧経済連携協定(EPA)に関して、Felbermayr et al.(2019)としてJJIEにて刊行しており、さらにこれを発展させ、Chowdhry et al.(2019)としてKiel Policy Briefに刊行し政策提言をしている。日米自由貿易協定に関する問題点と不安定要因を明らかにした。災害時や非常時のサプライチェーンの維持や食糧確保が問題になる可能性がありどう自由貿易を推進していくかが重要であるかを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
査証付き国際ジャーナルへ確実に刊行を続けており、Journal of Economic Historyや Journal of Economic Geographyなどトップジャーナルに刊行されている。また、進行中の論文も数本あり、DPとして刊行されている。また、災害のデータ作成やKiel Policy Briefの刊行などを通じて政策提言の面でも着実に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度から引き続き同様の方針とペースを維持して研究を進める。「研究実績の概要」で述べたように、いくつかの論文が中間段階で一旦、慶應のDPとして刊行しており、2020年度も引き続き研究を行い、各論文の質の向上と完成を目標にする。通常、自然災害は台風・地震・洪水・大規模火災などに加え、各種感染症拡大も含む。このため2020年に発生した新型コロナ感染症のパンデミックも災害の一つであり、本件も考慮した災害の経済学の研究を行っていく。
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