研究課題/領域番号 |
19H01491
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
上田 晃三 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30708558)
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研究分担者 |
新谷 元嗣 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (00252718)
飯星 博邦 東京都立大学, 経営学研究科, 教授 (90381441)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | DSGEモデル / ベイズ推計 / ゼロ金利制約 / 行動経済学 |
研究実績の概要 |
DSGEモデルは、現代のマクロ経済学における標準的分析ツールであるものの、多くの限界が指摘されている。本研究では、第1に名目金利のゼロ制約を考慮し、第2に「経済主体は将来の経済状態について完全には理解しない」とする行動経済学要素を取り込んで、モデルを構築し推計する。そして、得られた推計値から、金融政策、特にフォワードガイダンスの効果、など政策シミュレーションを実施する。 こうした研究は、日本はおろか海外でも未だ存在しない。分析の大きなハードルとなっているのは、ゼロ金利制約である。本研究では、近年開発・発展した手法を用いて、ゼロ金利制約のような推計の安定性を損なうようなケースにおいても頑健な形でパラメータを推計する。同時に、Gabaix (2020)のアイデアを取り込んだ行動経済学的なDSGEモデルを構築し、それをゼロ金利制約を含めた非線形モデルとして推計する。 こうした研究は、計算負荷の高さからいまだ存在しないだけでなく、高い現実妥当性から学術的だけでなく政策的にも重要性が大きい。行動経済学的要素によって、フォワードガイダンス・パズルが解消するなど、金融緩和の効果について、日本などの低インフレの経験とより整合的な評価が可能となる。また、これまでゼロ金利制約を考慮したモデルは不安定(非決定、indeterminacy)になることが多く、推計の妨げとなってきたが、行動経済学的要素によって均衡解が安定となるパラメータスペースの拡大し、推計がより容易になることが予想される。さらには、金融政策だけでなく、財政政策の効果(たとえば乗数効果)も定量的影響がある。こうした政策効果の再評価は、失われた20年の日本の経験や欧米での長期不況(secular stagnation)という重要なマクロ政策課題に新たな知見を与えるものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、モデルの構築、解の特徴の分析、そして、推計を行った。また、その基礎となるモデルの構築・推計を行い、国際的に評価の高い学術誌への掲載が受理された。派生研究も同じく国際的に評価の高い学術誌への掲載が受理された。 ただし、COVID-19の影響で、海外出張を通しての研究発表の機会が激減した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、論文の執筆を中心に進め、学術誌への投稿を目指す。 ただし、今年度もCOVID-19の影響で研究の一部が滞る可能性がある。特に海外出張を通しての研究発表は大きく減ることが見込まれる。
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