• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

競売法制改正による権利配分と取引費用の変化:執行妨害と落札価額への影響の実証分析

研究課題

研究課題/領域番号 19H01501
研究機関成蹊大学

研究代表者

井出 多加子  成蹊大学, 経済学部, 教授 (30245930)

研究分担者 吉田 修平  公益社団法人都市住宅学会(都市住宅研究センター), 都市住宅研究センター, 研究員 (00727852)
福井 秀夫  政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (60251633)
森岡 拓郎  長崎県立大学, 地域創造学部, 講師 (80725507)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード競売データ / 落札額 / 海外比較 / 競売実施期間 / 日越競売制度比較 / 賃貸借契約情報
研究実績の概要

2022年度は、文献、データ収集、整理、分析に加え、ベトナムの競売制度に関して現地調査と専門家のインタビューを実施した。日越の制度比較、日本の制度改善に関し注目すべき法制度の違いとその運用内容の検討を行った。昨年度報告した英国法の影響をうけているマレーシアと比較すると、ベトナムは一部日本の民法の影響を受けているが、日本と比較すると個人向け住宅ローンの利用は極めて限定的で個人向け金融市場の発達が不十分である。また、不動産評価額や課税制度などの点で、透明性が低い状態にあることが明らかとなった。またベトナムの現地調査において、マレーシアに関する追加収集を収集することができた。この資料からは、マレーシアにも日本と同様の賃借人保護が行われているが、賃貸借契約に関する正確な情報が一般に入手可能であることが明らかにされていて、このことが円滑な任意売却につながっていると推察できる。住宅の賃貸借市場と不動産競売のつながりを示す、重要な要因の一つと考えられる。
日本の不動産競売の研究では、昨年度の大阪地方裁判所の分析をすすめ、一般市場における取引データと比較することで、オークションで問題となる「勝者の呪い」がどのような状況で発生するか統計的に明らかにした(Idee and Fukui, 2022).
また、東京地方裁判所で実施された物件のデータセットを整備し、一般不動産市場との関連を調査した。その結果、本研究で注目している賃貸借契約人の存在が落札価額に与える影響について、興味深い地域差がみられ、賃貸借契約の内容にさらに踏み込んだ調査が必要であることが明らかとなった。来年度には、これらの結果をまとめて公表する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の海外調査より規模は縮小したものの、2か国について調査研究をすすめることができた。また昨年度整備した不動産競売データセットを一般不動産取引と比較することで、興味深い結論を導き、学会で発表することができた。
また、不動産競売データセットをさらに他地域に拡大し、地域差と占有保護に関する権利関係の影響について重要な気づきを得ることができた。

今後の研究の推進方策

2023年度は、今年度得られた仮説を検証するため、日本およびマレーシアとそれぞれ類似する制度を持つアジア諸国を調査する予定である。また実証研究において、占有者の一部が保有する賃貸借契約の質に関する情報を整備し、統計的分析で権利関係の影響を明らかにする予定である。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 行政処分の理由とその処分を争う原告適格との関係及び原告適格を基礎付ける処分要件と自己の法律上の 利益に関係のない違法主張制限との関係(一)2023

    • 著者名/発表者名
      福井秀夫
    • 雑誌名

      自治研究

      巻: 99巻1号 ページ: 75-94

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 行政処分の理由とその処分を争う原告適格との関係及び原告適格を基礎付ける処分要件と自己の法律上の利益に関係のない違法主張制限との関係(二・完)2023

    • 著者名/発表者名
      福井秀夫
    • 雑誌名

      自治研究

      巻: 99巻2号 ページ: 25-47

    • 査読あり
  • [雑誌論文] コロナウィルス対策の法的実効性の欠落2023

    • 著者名/発表者名
      福井秀夫
    • 雑誌名

      日本不動産学会誌

      巻: 35巻4号 ページ: 82-91

  • [雑誌論文] 行政処分は誰がどの理由で争えるのか(一)‐原告適格・「自己の法律上の利益」に関係のない違法主張 制限解釈の混迷と辺野古公有水面埋立承認2022

    • 著者名/発表者名
      福井秀夫
    • 雑誌名

      自治研究

      巻: 98巻4号 ページ: 33-58

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 行政処分は誰がどの理由で争えるのか(二)‐原告適格・「自己の法律上の利益」に関係のない違法主張制限解釈の混迷と辺野古公有水面埋立承認2022

    • 著者名/発表者名
      福井秀夫
    • 雑誌名

      自治研究

      巻: 98巻5号 ページ: 21-37

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 行政処分は誰がどの理由で争えるのか(三)‐原告適格・「自己の法律上の利益」に関係のない違法主張制限解釈の混迷と辺野古公有水面埋立承認2022

    • 著者名/発表者名
      福井秀夫
    • 雑誌名

      自治研究

      巻: 98巻6号 ページ: 42-61

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 行政処分は誰がどの理由で争えるのか(四)‐原告適格・「自己の法律上の利益」に関係のない違法主張制限解釈の混迷と辺野古公有水面埋立承認2022

    • 著者名/発表者名
      福井秀夫
    • 雑誌名

      自治研究

      巻: 98巻7号 ページ: 24-41

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 行政処分は誰がどの理由で争えるのか(五)‐原告適格・「自己の法律上の利益」に関係のない違法主張制限解釈の混迷と辺野古公有水面埋立承認2022

    • 著者名/発表者名
      福井秀夫
    • 雑誌名

      自治研究

      巻: 98巻8号 ページ: 49-66

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 行政処分は誰がどの理由で争えるのか(六)‐原告適格・「自己の法律上の利益」に関係のない違法主張制限解釈の混迷と辺野古公有水面埋立承認2022

    • 著者名/発表者名
      福井秀夫
    • 雑誌名

      自治研究

      巻: 98巻9号 ページ: 48-66

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 行政処分は誰がどの理由で争えるのか(七・完)‐原告適格・「自己の法律上の利益」に関係のない違法 主張制限解釈の混迷と辺野古公有水面埋立承認2022

    • 著者名/発表者名
      福井秀夫
    • 雑誌名

      自治研究

      巻: 98巻10号 ページ: 26-46

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 公水使用権の性質2022

    • 著者名/発表者名
      福井秀夫
    • 雑誌名

      行政判例百選Ⅰ[第8版 ]

      巻: 260号 ページ: 30ー31

  • [雑誌論文] 不動産競売の法制度と実証研究の国際比較から見る日本の住宅市場流動化の提案2022

    • 著者名/発表者名
      井出多加子
    • 雑誌名

      成蹊大学経済経営論集

      巻: 53巻2号 ページ: 101-116

  • [学会発表] デザイン・知的創造物発注の法的枠組み2022

    • 著者名/発表者名
      福井秀夫
    • 学会等名
      知的生産者の公共調達に関する法整備連絡協議会
  • [学会発表] 環境の行政・司法コントロールの限界と政策課題を探る:都市の性能と居住者の感じ方を考慮した柔軟性へ2022

    • 著者名/発表者名
      赤嶺朝子、安念潤司、石川徹、小島延夫、八田達夫、福井秀夫、前森智香子
    • 学会等名
      都市住宅学会
  • [学会発表] 余剰容積率移転の意味-法と経済学の観点から-2022

    • 著者名/発表者名
      阿部雪子、大貫裕之、後藤暢子、中城康彦、福井秀夫
    • 学会等名
      日本不動産学会
  • [学会発表] Winners’ Curse in Condominium Auctions and Signals of Open Markets: Evidence from Osaka City2022

    • 著者名/発表者名
      Takako Idee and Hideo Fukui
    • 学会等名
      Japan Association for Real Estate Sciences.
  • [図書] 行政法学の変革と希望2023

    • 著者名/発表者名
      阿部泰隆編著、福井秀夫、中川丈久、北村喜宣、板垣勝彦、吉岡正和、角松生史/ソ・ヌリ、田中謙、 鈴木秀洋、比山節男
    • 総ページ数
      654
    • 出版者
      信山社出版
    • ISBN
      978-4-7972-3680-4

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi