研究課題/領域番号 |
19H01510
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒田 明伸 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70186542)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 貨幣 / 補完性 / 世界史 / 国際共同研究 / 交換 / 銀 / 小額通貨 |
研究実績の概要 |
2019年7月にパリ大学ナンテール校にてPatrice Baubeau博士の協力を得て、欧州5か国6人の共同研究者とともにブレインストーミングのための研究会を開催した。研究代表者黒田による、交換の多様性が貨幣の多元性をもたらすという視点からの世界貨幣史解釈についての提言をめぐり、交換の区分けや時代画期の有効性などについて議論が交わされた。黒田は台湾大学経済学系と中央研究院近代史研究所にて貨幣間の補完性の視点から中国と世界の貨幣史を再解釈する報告をおこない、ボローニャ大学にでアジア貨幣史の視点からアフリカ植民地貨幣の特色を論じる報告を行った。また台北の漢学研究中心にて中国史における銀の使用の変遷とその特質を論じる報告を行い、その内容を『中国経済史研究』(北京)に論文として公刊した。黒田はまた、フランス銀行史料館にて旧仏植民地での貨幣流通についての資料調査を行い、大英図書館にてインド洋沿岸での貝貨の使用実態と19世紀イングランドでのカントリーバンクの実態について調査した。台北の国史館新店分館にて1930年代中国国民政府の財政部を中心とする档案を調査し、1935年11月に発せられた幣制改革では、銀貨など既存通貨を中国・交通・中央銀行の発行する紙幣に交換し、統一通貨制度が成立するはずであったが、地方では日常取引に必要な小額通貨が不足し、銀貨を隠匿して交換に応じないなど、統一とはほど遠かった現状を伝える資料を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年7月にパリ大学ナンテール校にて欧州5か国7人の共同研究者とともにブレインストーミングのための研究会を開催し、今後の共同研究の足掛かりができた。欧州と台湾での資料調査で有益な資料の発見ができている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度中に黒田の著書A Global History of Money の合評会を兼ねた、研究協力者による研究報告の会合を欧州で開き、共同研究の具体的内容を検討する。2021年度にパリで開催される世界経済史学会にて部会Complementarity between Exogenous Money and Endogenous Money in Global Historyを主宰し、中間成果を披歴する。2022年度に研究協力者の個別報告を相互批判する会合を開催し、成果の英文での出版を目指す。
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