研究課題/領域番号 |
19H01510
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒田 明伸 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70186542)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 貨幣 / 銀行券 / 銀 / 貝貨 / インドシナ / アフリカ |
研究実績の概要 |
2022年7月27日パリで開催の第19回世界経済史学会にて部会Complementarity between Exogenous Money and Endogenous Money in Global Historyを日・伊・蘭・仏・英・瑞から報告者を迎えて主宰した。近世日本の藩札、英領東アフリカの植民地通貨、現代アルゼンチンの地域通貨、近代フランスの地方銀行券、近代英国の地方で流通した個人振出手形、近代スウェーデンの二元的銀行券流通、中華帝国通史に現れた政府通貨と現地の通貨慣行の対応、を題材として、貨幣が流動性を担うあり方の多様性とその変動ついて世界史的視点から議論が行われた。黒田は7月26日の部会Money of the Poor, money for the poor or money by the poor?において分割不可能なほどの零細額面通貨が小規模経営の小農たちの間の現地市場での売買成立をうながす傾向を論じたAtomic Currencies for the Exchanges among Commonersを、7月27日の部会Paper Money in Practice and Theory in the World History -Millennium Memorial for Paper Money Initiationにおいて元朝統治下の政府紙幣が兌換されることなく流通区域を区切って通し番号を記入された旧札を新札に交換するシステムで流通させることができたことを論じたA Paper Money Standard in the Fourteenth Century Chinaを報告した。黒田はパリのフランス銀行史料館にて1920年代の銀市場についての資料、インドシナ銀行の投資についての資料を調査し、フランス国家図書館にて北米・ミクロネシアの貝貨関連資料、安南の財政金融についての資料を調査した。またフランス貨幣博物館にてアフリカの多様な現地通貨についての展示を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パンデミックの影響をうけ、世界経済史学会の前に海外の研究協力者と対面でインテンシブな議論をする機会をもてなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
世界経済史学会で黒田が主宰した部会「世界史における外生的貨幣と内生的貨幣の間の補完性」における総括討論においてあげられた、貨幣には流動性をもつと同時に流れすぎないようにする非流動性を兼ね備えている属性があるのではないか、との論点を、国際共同研究をしながら深めていく。
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