研究課題/領域番号 |
19H01513
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
西村 雄志 関西大学, 経済学部, 教授 (10412420)
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研究分担者 |
石川 亮太 立命館大学, 経営学部, 教授 (00363416)
正木 響 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (30315527)
杉原 薫 総合地球環境学研究所, 研究部, 特任教授 (60117950)
加藤 慶一郎 大阪商業大学, 総合経営学部, 教授 (60267862)
鎮目 雅人 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80432558)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 重曹的決済システム / 中央銀行制度 |
研究実績の概要 |
2019年度は後半に新型コロナの感染状況が急拡大した事により、その段階で予定していた国内の研究分担者と国内外の研究協力者を招聘してワークショップが開催出来なかった。また対面式の開催を断念した段階でオンライン開催に切り替える準備等にも手間取り、結果として研究分担者と研究協力者が集まって議論する場を設けることが出来なかった。 しかしながら、各研究分担者は個別の研究活動を充実させており、本科研の研究目的につながる研究報告を活発に行った。正木は、Annual Meeting of the African Economic History Networkにおいて、植民地期においてフランスがセネガルにおいて実施した金融システムの再編過程について、フランス本国と現地に残されている一次史料を駆使して研究発表を行なった。また鎮目はEuropean Historical Economics Society Conferenceにおいて、日本の近世から近代移行期における国立銀行制度をはじめとする金融システムの再編過程について、当時の政策担当者の個人文書や国立公文書館に残されている一次史料を駆使しながら研究発表を行なった。杉原は、インド洋交易圏における近世から近代における貿易構造の実態を再構築する過程で見えてきた決済のかたちについて、特に貿易統計を分析する事から接近しており、その一部を数回にわたって研究報告を行なっている。加藤は高島正憲氏の超長期の日本経済のGDP推計値の研究を決済や貨幣から接近して分析する重要性を指摘された。石川は植民地期前後の朝鮮半島における決済システムの変容について引き続き分析された。研究代表者の西村は両大戦間期のインドにおける綿花取引の実像について一次史料の収集に努めた。 2019年度は相互に議論を交わす機会を逸したが、各々が研究分野において今後に繋がる成果を得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの影響もあり、研究代表者と研究分担者の多くが調査のための出張が制限されており、十分な一次史料の収集が行えていない。また国内外の研究協力者を招聘することも叶わず、本科研の研究目的となる重層的な決済システムの成立と中央銀行制度の役割の国際比較について、時間をかけて議論が出来ていない。それらの点を踏まえ、本科研の進捗状況は些か遅れ気味と言わざるを得ない。 しかしながら、研究分担者ならびに研究協力者は、各々の研究分野で本科研の研究目的に関係する近隣分野の研究を渉猟する事に努めており、その結果として貨幣や金融の専門家から思いも掛けない指摘を得ることも出来た。そのような他分野からの指摘について、一次史料の分析に没入する前に触れることが出来たことは、2019年度の大きな成果と言える。こうした近隣分野との交流については、今後も引き続き行なっていく予定にしている。 いうまでもなく、本研究分担者と研究協力者は、これまで収集してきた一次史料や研究成果を踏まえて、可能な範囲内で本科研の研究を進めており、最終的に本科研の成果として刊行予定の英語の論文集に向けて、ペーパーの執筆を含めて準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナの感染状況が落ち着き、国内外の移動規制が緩和される状況となれば、各研究分担者ならびに研究協力者との交流の機会を増やす予定にしている。可能な限り対面式での開催を模索したいと考えているが、昨今のオンラインでの学会等が普及している状況を鑑み、相互に並行しながら議論の場を増やしていきたいと考えている。2022年度には開催が延期されていた国際経済史会議も開催されるため、本科研の研究分担者と研究協力者の多くがそちらに参加して研究報告を行う事になっている事から、その準備作業のためにも遅れを取り返すべく取り組む予定にしている。 具体的には研究報告のオンライン開催の機会を増やすことを第一に考えており、その頻度を上げていくことで研究者相互の理解を深めることに努めていきたい。また本科研の最終的な研究成果として予定している英語論文集の刊行に向けた草稿の執筆についても、研究分担者ならびに研究協力者が相互にコメントし合う機会を設けることで充実させていきたいと考えている。まずは2022年度開催の国際経済史会議を問題なく行うため、研究報告予定者に報告内容の準備に努めてもらう事を第一に取り組みたいと考える。
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