研究課題/領域番号 |
19H01516
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
長平 彰夫 立命館大学, テクノロジー・マネジメント研究科, 教授 (10323122)
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研究分担者 |
石田 修一 東北大学, 工学研究科, 教授 (00326539)
Montshiwa Abednico・Lopang 東北大学, 工学研究科, 助教 (70828657)
名取 隆 立命館大学, テクノロジー・マネジメント研究科, 教授 (00551566)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 隠れたチャンピオン企業 / 日本の中堅・中小企業 / ドイツの中堅・中小企業 / ファジイ・フロント・エンド(FFE) / KIBS |
研究実績の概要 |
(1)先行文献調査・分析:前年度に引き続き先行研究についてレビューを行った。対象は、①日本及びドイツ、他の欧州諸国のHCs企業に関する先行研究、②経済地理学、経営学、起業理論の先行研究、③FFE及びKIBSに関する日米欧における先行研究、である。また、HCs 企業の視点から、新製品開発マネジメント理論、中小企業論、立地論、サプライチェーンマネジメント理論の新たな体系化を行い、HCs 企業の「企業論」における位置づけをある程度はっきりさせることができた。(2) 分析フレームワーク構築のための調査: 日本及びドイツにおいて実施する大規模質問票調査 に備えて、日本のHCs企業の新製品開発のプロセスにおいて、①「新製品開発の前段階(FFE)」における、技術及び市場の不確実性の低減、初期の新製品開発計画の熟度と「成功」との間の関係性、②「途中段階での製品開発内容の変更」と「FFE」との間の関係性、③「FFE」と「成功」との間の関係性、④KIBSを活用した海外進出について、分析フレームワークを構築し、続いて具体的な大規模質問票調査項目の策定を行った。(3) 日本のHCs企業の選定 :㈱帝国データバンクのデータベースを使用してHCs企業の条件に該当する企業を抽出した結果、一部リストアップができていない業種(化学工業、機械工業、サービス業)を除いて689社を選定した。この日本のHCs企業のリストは世界で初めてのものであり、大きな研究成果といえる。(4) 日本のHCs企業に対する大規模質問票調査の実施及び統計解析:(3)でリストアップした日本のHCs企業に対して質問票を郵送し、返信用郵便にて回答を回収した。有効サンプル数は92社であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年に完了するはずだった、①日本の隠れたチャンピオン (HCs) 企業に対する大規模質問票調査のための調査票のテスト、②日本の隠れたチャンピオン企業のリストアップ、が新型コロナウイルス感染症の影響でリスト作成協力者であった株式会社帝国バンクのデータベースの使用がリモートアクセスのみとなり、その手続きが遅れ、2020年度に入ってから実現することとなった。その後、株式会社帝国データバンク側の体制強化などの全面協力により日本の隠れたチャンピオン企業のリストアップ及び大規模質問票調査票の作成、を同時並行で行うとともに、予備調査もリモートを使用して実施した。最終的には、かなり遅れを取り戻したが、一部リストアップができていない業種(化学工業、機械工業、サービス業)が残った。これらの業種のリストアップ及び追加調査は2021年度初めに行う予定である。以上から2020年度は2019年度の遅れをかなり取り戻したが、日本の隠れたチャンピオン企業の大規模質問票調査の一部業種が残っていることから、進捗はやや遅れている状況でと評価した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)前2ケ年に引き続いて先行研究について調査・分析を行う。 具体的には、①日本及びドイツ、欧州の隠れたチャンピオン企業(hidden champions: HCs)に関する先行研究、②経済地理学、経営学、起業 理論からの各国語の先行研究、③FFE及びKIBSに関する日本、欧州、米国における先行研究、である。また、日本、ドイツのみならず、他の欧州諸国や米国などの地域的な拡がりも考慮して、HCs企業の基礎理論に依拠しながら、新製品開発マネジメント理論、中小企業論、立地論、サプライチェーンマネジメント理論の新たな体系化を試みる。(2) 日本のHCs企業に対する大規模アンケート調査の未実施対象業種(化学工業、機械工業、サービス業)を対象に追加調査を行うとともに、2020年度に実施した大規模質問票調査結果と一緒にデータの統計解析をSmartPLS3.3.3を使用して実施する。また、回答企業から業種別にサンプルを抽出してリモート等によるインタビュー調査も実施し、定性分析を行う。(3)日本のHCs企業と同業種、同規模の売り上げの日本企業700社程度に対して、HCs企業に対する大規模質問票調査と同じ質問票により大規模調査を行い、データの統計解析結果をHCs企業と比較することにより、日本のHCs企業の特質を明らかにする。(4)また、2021年度は、2022年度に予定しているドイツのHCs企業に対する大規模質問票調査を実施するため、日本のHCs企業に対する大規模質問票調査の質問票をドイツ語に翻訳し、ドイツの研究協力者にその内容の精査及び予備調査(10社程度)を実施する。同時に、ドイツのHCs企業のリストを策定する。(5)2023年度は、日本のHCs企業に対する調査結果とドイツのHCs企業に対する調査結果の比較を行うとともに、研究成果の公開発表会を日本及びドイツの複数の都市で実施する。
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