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2019 年度 実績報告書

東南アジアにおける日系企業を通じた産業集積の発展と本国への波及効果に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19H01524
研究機関岐阜大学

研究代表者

加藤 厚海  岐阜大学, 新学部設置準備室, 教授 (10388712)

研究分担者 原口 恭彦  東京経済大学, 経営学部, 教授 (20343452)
下野 由貴  名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (20379473)
竹中 厚雄  滋賀大学, 経済学部, 准教授 (30363899)
石井 真一  大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (70315969)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード産業集積 / 東南アジア/ASEAN / 企業間関係 / サプライヤー / 自動車産業 / マザー工場 / 高付加価値化
研究実績の概要

本研究の目的は、日系企業が進出することで東南アジアに形成された、自動車産業集積の形成過程を明らかにし、それが日本の産業集積に与える波及効果の解明である。具体的には、ASEANに進出したサプライヤーについて、①本社立地、進出国・年度、技術・部品に基づき分類と、日系企業によるASEANでの産業集積の形成過程、②進出国での取引関係の変容(系列関係の深化、非系列関係の探索)が、国内での取引関係(系列関係)に与える影響、③ ②の影響が国内マザー工場に与える効果(開発機能・生産技術の向上)を検討する。研究は全体像を解明するための統計分析と企業調査のデータ分析になる。①について、データベース作成はタイ進出企業については概ね完成しており、インドネシア進出企業のデータベースも作成したが、修正を要するため未完成である。また、国内調査では、ダイハツ工業、ASEANに進出する大手企業、デンソー、マレリ、ミツバ、エイチワン、タイまたはフィリピンに進出する中小企業6社(群馬2、愛知4)においてデータ収集を行った。海外調査ではタイで24社の企業調査を行った。ヨロズ、武部鉄工所、関東工業、マレリ、池田製作所、美原、トヨタ、デンソー、ジェイテクト、三遠機材、小楠金属、東洋電産、マツダ(AAT、MPMT)、トーヨーエイテック、デルタ工業、広島アルミ、広島精密、水島機工、ミヤケ、安田工業、タイサミット、アピコ、アンパスである。インドネシアについては、大まかではあるが、ダイハツのサプライチェーンについて把握することができた。②は、タイについては企業系列毎に整理中であり、系列関係の深化に重きを置くサプライヤーと非系列関係の探索にも重きを置くサプライヤーに分かれることが確認できた。③国内事業の高度化については、Tier2サプライヤー5社から確認することができた。②③については更なるデータ収集が必要となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記②の目的については、インドネシアの産業集積を知る上では、ダイハツのサプライヤーのデータ収集ができた。上記②③の目的については、群馬・埼玉・愛知・広島の大手企業の事業展開、群馬・神奈川・静岡・愛知・広島の中小企業の事業展開と国内事業の高度化(設計強化、金型事業の強化等)などについて、データ収集を行うことができた。①については、各社の構成部品を含めると非常に複雑であり、各国の自動車産業集積の形成に影響を与えている可能性が明らかとなった。大手企業では、中国市場への移行、インドを活用した部品調達網の方針もあり、また、ASEAN、中国、インドのサプライチェーンを比較すると、日本との類似性に、大きな差異があることがわかった。大手自動車メーカーでは、地産地消型の調達方針と最適生産の調達方針があり、各国の市場規模と各メーカーの市場戦略で異なることが解明された。加えて、大手企業の一部、中小・中堅企業では、タイ以外のインドネシア・フィリピン・ベトナム拠点を活用した、部品調達についてもデータ収集を行った。

今後の研究の推進方策

①の目的を達成するためには、マレーシア、ベトナム、フィリピンの日系企業データベースを完成させる必要がある。また、タイ・インドネシアの日系企業データベースを作成する上で、調査会社のデータでは漏れている企業が多く、多くの修正を要する。
海外企業調査では、インドネシアの現地調査が必要である。日系自動車部品サプライヤーは、ブカシ、カラワンの工業団地に集積しており、データベースを精緻化すると共に、現地調査を行う。具体的には、ダイハツと大手自動車部品企業の調査を計画している。
また、タイでの企業調査も継続する。トヨタ系(愛知)、日産系(神奈川、静岡)、ホンダ系(静岡、埼玉、群馬)、いすゞ系(神奈川)、マツダ系(広島)、三菱系(岡山)の主要サプライヤーである。過去に訪問済みの企業もあるが、異なる内容の調査事項であるために再訪問する必要がある。
国内調査では必要に応じて、自動車メーカーの系列毎に、群馬、埼玉、愛知、静岡、岡山、広島の自動車部品の本社にて、インタビュー調査を行う。特にフィリピン、マレーシアに進出している企業については、国内調査で補うことにする。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 「海外拠点における製品開発マネジメント―トヨタの米国開発における日本本社との連携―」2019

    • 著者名/発表者名
      石井真一
    • 雑誌名

      2019年度組織学会研究発表大会予稿集

      巻: ー ページ: 484-490

  • [雑誌論文] Profit and risk Sharing Strategies in Supply Chain: A Case of Japanese Automotive Industry2019

    • 著者名/発表者名
      Yoshitaka Shimono
    • 雑誌名

      Nagoya City University Discussion Papers in Economics

      巻: 650 ページ: 1-18

  • [雑誌論文] Strategies by automobile part manufactures to expand customer base: Next-generation production development and global expansion by Koito Manufacturing Co., Ltd.2019

    • 著者名/発表者名
      Yoshitaka Shimono
    • 雑誌名

      Nagoya City University Discussion Papers in Economics

      巻: 651 ページ: 1-13

  • [雑誌論文] 大学生の進路選択自己効力感と学習との関連―社会的スキルの媒介効果に着目して―2019

    • 著者名/発表者名
      藤澤広美、原口恭彦
    • 雑誌名

      キャリア教育研究

      巻: 37(2) ページ: 23-34

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 社会―政治的要因が組織における個人イノヘーションに与える影響に関する研究:──他者志向のモチヘーションの視点から──2019

    • 著者名/発表者名
      大上麻海・原口恭彦
    • 雑誌名

      日本経営学会誌

      巻: 42 ページ: 15-26

    • 査読あり
  • [学会発表] “Integration at offshore new product development: A case of Toyota,”2019

    • 著者名/発表者名
      Shinichi Ishii / 石井真一
    • 学会等名
      組織学会・Asia Academy of Management共催、駒澤大学。
    • 国際学会
  • [学会発表] 海外拠点における製品開発マネジメント―トヨタの米国開発における日本本社との連携―2019

    • 著者名/発表者名
      石井真一
    • 学会等名
      組織学会研究発表大会、駒澤大学。
  • [学会発表] “Management Research while Interacting with Business People: Experiences of a Japanese Academic Management Scholar,”2019

    • 著者名/発表者名
      Shinichi IshiiShinichi Ishii
    • 学会等名
      International Business Workshop (Jointly supported by Kanematsu Seminar)、神戸大学経済経営研究所。
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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