研究課題/領域番号 |
19H01527
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
三橋 平 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (90332551)
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研究分担者 |
ALCANTARA L.L. 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 教授 (10584021)
永山 晋 法政大学, 経営学部, 准教授 (10639313)
閔 廷媛 上智大学, 経済学部, 准教授 (30632872)
安田 直樹 東京理科大学, 経営学部経営学科, 講師 (70756981)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 経営学 / 組織学習 / ネットワーク / 経路依存 / 埋め込み |
研究実績の概要 |
組織論分野の研究では、ネットワークの構造的な埋め込みと経路依存性が組織行動を形作っていることが知られている。本研究では、当初は、前者だけに着目をし、ネットワークを二元論的に分類、ネットワークが2つの形を時間の推移とともに循環的に移行するプロセスを解明しようとしていた。しかしながら、この着眼点だけではネットワークと歴史という2つの行動制約要因を網羅的に把握できないことから、経路依存性を加え、研究目的を発展させている。そして、組織は新しことを始めるよりも、今あるもの、既存のものを維持、持続させることが得意であり、これは、ネットワーク構築と学習パターンのいずれにも見られる。本研究では、このような慣性が持つ負の側面を低減し、正の側面を増長させるメカニズムを解明していく。我々の研究課題は、3つのサブ課題に分けて進めている。1つ目のサブ課題は、遺伝子組み換え作物に関するデータを用いた研究である。新しい市場においては、ラベル付けコンテストとでも呼ぶべき、名称に関する競争が発生している。誰がどのようなラベルの、どの時点で用いているのか、この問題を、ネットワーク、経路依存性の観点から明らかにし、新しい市場の成長メカニズムに関する新しい見方を提示したい。昨年度は、研究コンテクストの理解、および、データ収集の準備を行った。2つ目のサブ課題は、文化創造物、ラップ音楽市場に関するデータを用いた研究である。この研究では、ルート・コンセプトという概念を提唱し、新しい創造活動における歴史的な幹に関する見方を提示する。昨年度は、データの分析を行い、中間発表として位置づけで2回の学会発表を行った。3つ目のサブ課題は、経路依存性と埋め込みを50年以上の長期的な観点から捉え、企業の盛衰を説明するものであり、コンテクストの探索とデータベースの特定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展していると思われる。第1の理由は、サブ課題に分け、それぞれを担当している各研究者の生産性が高いおかげである。第2の理由は、アルバイト雇用などを通じて、データベース構築をアウトソーシングしているためである。第3の理由は、有機的に研究テーマを適応させているためである。現在の研究テーマが申請時とやや変更しているが、ネットワークと埋め込みという視点に加えて、学習と経路依存という視座が加わることで、より包括的に組織行動とその盛衰について理解を深めることができると前向きに考えている。
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今後の研究の推進方策 |
サブ課題1と3については、引き続きデータ作業を要しているが、今年度中にデータ分析に着手できるように生産性を高めていく予定である。サブ課題2については、論文投稿レベルに論文を仕上げ、同時に、ジャーナルとのやり取りを通じて、より論文を精緻化する必要がある。また、論文ではroot conceptという概念を導出しているが、この概念をさらに発展させて課題に取り組めるかを検討する必要がある。特に今年度の注意点としては、コロナ感染の影響があり、国際学会、海外出張の機会が限られることであるが、この影響を極力縮小できるよう工夫していきたい。
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