研究課題/領域番号 |
19H01529
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
高井 透 日本大学, 商学部, 教授 (60255247)
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研究分担者 |
竹之内 玲子 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (30409627)
Benton Caroline 筑波大学, ビジネスサイエンス系(副学長), 副学長 (50520897)
山本 篤民 日本大学, 商学部, 教授 (60521284)
清水 さゆり 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (70445873)
神田 良 明治学院大学, 経済学部, 教授 (90153030)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | jマーケット / グローバル / ボーングローバル / リードマーケット / ハイテク / ストレッチ / 資源 / 周辺市場 |
研究実績の概要 |
本年度は、事例研究をベースに次のような含意を導き出している。独自性を生み出すための資源蓄積のプロセスはBGCによって異なっている。海外展開するスピードが早いとはいえ、最初から波及効果の高いリードマーケットに参入するボーン企業ばかりではない。資源の壁を超えて、独自性のある資源を創るプロセスには、二つのルートがある。つまり、リード市場参入型と周辺市場参入型である。ふつうのボーングローバル企業(以下、BGC)であれば、よほど資金調達が潤沢でなければ、同時に複数の国に海外進出することは困難である。まずは、近隣の国に海外進出するリージョナルBGCが多い。距離という空間の課題を越えるのは、BGCにとっても簡単なことではない。そのため、海外進出の当初は、リードマーケットからは参入せず、まずは近隣の国から参入することで、グローバル展開のノウハウや独自性の高い資源蓄積を行う。換言するならば、まずは周辺国市場に参入することで、資源の溜を作り、周辺国で競争優位性を高めてからリード市場に参入する。というのも、リーダ市場から参入した場合、当然、激しい競争にさらされるからである。資源の蓄積という背後に、競争への対応というシナリオが存在する。 それに対して、リードマーケットから参入する企業は、ハイテクや医薬産業などの競争・市場環境の変化が激しい業界にいるBGCである。この業界のBGCは、リード市場でのビジネスチャンスの機会を逸することは、今後の成長の機会を失うことにもなるからである。ハイテクや医薬業界の場合、マーケットウインドウは長くは空いていないため、敢えて資源をストレッチしても、参入する必要があるからであろう。そのため、リードマーケットに参入するために、国内である程度の資源の蓄積を行い、そして実績を作ってから参入するという戦略は必要不可欠な可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染拡大がまだ終息せず、予定どおり事例研究を進めることが難しい状況であった。とくに、地方にあるボーングローバル企業の調査が遅れている。しかし、東京および東京近郊にあるボーングローバル企業のインタビュー調査は徐々にではある進められている。現在は、インタビュー調査を行った企業の共通的な特徴を抽出している。また、産業間でのどのような戦略行動の違いがあるのも、分析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度に行う予定の大規模アンケート調査に向けた分析枠組の精緻化に、現在、取り組んでいる。また、大規模アンケート調査を行う前に、プレアンケート調査を実施することで、さらに分析枠組の精緻化を図る予定である。また、事例調査からの逸脱事例に注目して、再度、インタビュー調査を実施する予定である。
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