研究課題/領域番号 |
19H01535
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
高橋 潔 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (90298555)
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研究分担者 |
中森 孝文 龍谷大学, 政策学部, 教授 (20397607)
内田 恭彦 山口大学, 経済学部, 教授 (40379508)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 心的資産 / 知的資産経営 / 付加価値 |
研究実績の概要 |
本課題の実施初年にあたっては、以下のような成果をみた。ただし、コロナウィルスの感染拡大が支障となって、成果発表よりは情報収集に集中してきた。 「組織内部手続きの断捨離プロセスの探求(テーマ1)」では、「組織的断捨離」という萌芽的概念を中核として、理論化を進めることを目的とした。経営者を対象にしたデータはすでに収集済みである。データ分析が継続中である。 「不合理判断と心的資産の関係性の解明(テーマ2)」では、本年は、短期的には不合理でも長期的には有効な経営判断やマネジメント施策について、聞き取り調査を通じて事例を蓄積した。また、不合理的な経営判断が従業員や顧客の心理変化に与える影響を、調査データの分析から明らかにした。その研究成果は国際心理学会(ICP2020)にて採択されたが、大会自体が延期となった。 「心的資産思考のリーダーシップ開発の探求(テーマ3)」(もしくは「地域に密着した心に響く商品・サービスの開発」)では、心的資産に関連する財とサービスを提供するリーダー人材の育成プロセスに関する実証研究をまとめ、査読論文として受理された。さらに地域事業に着目して、その心的資産および心的資産を活用した事業の特徴を把握すべく、予備調査を行った。具体的には、観光客が地域資産に対し心的イメージを形成し付与する心理プロセスおよびその購買態度への影響を把握することを目的とした。研究成果は国際心理学会(ICP2020)にて採択されたが、大会自体が延期となった。 「採用活動における心的資産の評価方法の開発(テーマ4)」では、企業の採用活動(面接やエントリーシートや適性検査など)において、判断にバイアスが多いために、人工知能(AI)の人事への応用が取りざたされている。本年は、採用や評価にかかわって、AIを人事に応用すべき方法について、人事担当者に対して社会調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの世界的感染拡大の影響で、当初企画していたイタリアでの視察が延期となった。イタリアの農場を訪問し、地域産業における経営的強みについて深い情報収集を行うことで、知的資産と心的資産に関する調査を実施する計画であった。また、心的資産思考のリーダーシップ開発のためのインタビュー調査を中止せざるを得なかった。 国内においても、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令などにより、人の移動が著しく制限されたため、宮城県や京都府において、地域産業の経営を調査する計画であった。いずれも、広域間移動を伴うため、調査の実施を延期せざるを得なかった。 地域間移動を伴わない調査やデータ収集については、不都合を抱えながら実施されているため、研究方法の修正を余儀なくされている。加えて、研究成果の報告を行う予定としている国際学会が延期となり、予定されていた研究発表の機会が失われることが予想される。
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今後の研究の推進方策 |
今後については、新型コロナウィルスの状況が不透明なことから、①事態が収束するシナリオ、および②収束しないシナリオを描き、どちらの場合にも対応できるようにする。①においては国内本調査がすぐに実施できる準備を進め、夏から初秋頃までで調査可能な時期があれば、そこで行うことを予定する。またイタリア調査については状況次第であるが、可能であれば来年度(最終年度)の春から夏にかけて調査を実施する方向で計画を進める。②の場合は現在予定している規模と内容の調査実施は不可能であるが、国内調査においては現地の人材によりデータ収集を行う、もしくはネットを使ったインタビュー調査などを検討する。イタリア調査に関しては実施困難であり、国内で代替の調査を計画する。 調査機会ならびに研究成果の報告機会が、地域間移動の制限によって限られてくるなかで、研究方法を見直す必要もある。具体的には、現地調査の規模を縮小するとともに、地域間移動の悪影響が収まるまで、延期する必要があると思われる。 その代わりに、ウェブを通した調査活動や信用調査機関を活用した調査、対面形式ではないデータ収集方式に切り替えていく必要がある。
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