研究課題/領域番号 |
19H01543
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
結城 祥 中央大学, 商学部, 准教授 (10554321)
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研究分担者 |
崔 容熏 同志社大学, 商学部, 教授 (70315836)
久保 知一 中央大学, 商学部, 教授 (40376843)
原 頼利 明治大学, 商学部, 専任教授 (30366900)
高田 英亮 慶應義塾大学, 商学部(三田), 准教授 (90508631)
北島 啓嗣 福井県立大学, 経済学部, 教授 (60398980)
李 東俊 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (40585197)
石井 隆太 福井県立大学, 経済学部, 助教 (80842872)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マルチ・チャネル / 取引費用 / 社会的正統性 / ケイパビリティ / 延期-投機 |
研究実績の概要 |
本研究の課題は、「強力な流通チャネルを構築した製造業者が、新たなチャネル環境に直面した時に、すぐに転換できないのはなぜか?」「製造業者が現行のチャネルを見直し、新たなチャネル体制の構築を図る際に、それを駆動する要因は何か?」という問いに対して、新制度派アプローチに基づいて、実証的な回答を導き出すことである。 当該年度においては、製造業者のチャネル拡張・修正行動としての「マルチ・チャネル化」にフォーカスした実証分析が行われ、その成果が、幾つかの論文と学会報告として公にされた。 具体的な成果として、Choi and Hara (2019) は、マルチ・チャネルの追求とそのパフォーマンスの関係が、経済的合理性の原理 (チャネル間シナジー) と社会的正統性の原理 (模倣的同型化および規範的同型化) のどちらに従うかによって変化することを明らかにした。またデュアル・チャネルの選択行動に注目したTakata (2019) は、日本市場においては、取引費用要因よりもケイパビリティ要因が強く影響していることを見出した。さらにKikumori, Ishii and Ono (2019) は、マルチ化するチャネルの中から、顧客がどのように購買チャネルを選択しているのかを探究し、その結果、チャネル特性と顧客の心理特性(顧客の制御焦点)が、その選択を規定していることを明らかにした。 マルチ・チャネル化現象に注目した上記の業績群に加えて、結城 (2020) は製品の流通・開発様式が在庫成果に及ぼす影響に注目し、アパレル企業を対象とした実証分析を行った。昨今では、経済的合理性や社会的正統性の圧力を受け、多くのアパレル・メーカーが期中企画・期中生産を実施しているが、そうした試みが在庫削減に及ぼす影響は、アパレル・メーカーが小売段階を統合しているか否かによって変化することが見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は2つのサブテーマから構成されている。第1は「日本市場におけるチャネル転換とマルチ・チャネル化」であり、第2は「海外市場における日本企業のチャネル構築と管理」である。このうち、当該年度では第1のサブテーマに関する研究が精力的に行われ、その成果は既に多くの論文・学会報告として結実している。それゆえ研究計画はおおむね順調に進展しているものと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の第1のテーマは「日本市場におけるチャネル転換とマルチ・チャネル化」、第2のテーマは「海外市場における日本企業のチャネル構築と管理」である。第1のテーマについては既に研究を行ってきたが、その成果の多くはサーベイ・データを用いた実証分析に基づくものである。それゆえ今後は、2次データを用いた分析を行う予定である。また第2のテーマに関する研究も進めるべく、目下、海外市場における製造業者-流通業者間の取引関係に関する文献をレビューしている。これに基づいて、企業によるマルチ・チャネル化が、海外市場における製造業者-流通業者間の取引関係に及ぼす影響について探究する予定である。
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