研究課題/領域番号 |
19H01564
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
多田 光宏 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (20632714)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 方法論的ナショナリズム / 言語社会学 / 国民国家 / 世界社会 / 知識社会学 / 社会学史 / グローバリゼーション / 国語 |
研究実績の概要 |
交付申請書に記載のとおり、本基課題は、もともと平成28(2016)年度から実施していた科研費研究課題(基盤C)の最終年度の前年度応募として採択されたものである。すなわち本基課題は、社会学のこれまでの主導的理論が言語をどのように捉えてきたかを解明するとともに、同一言語の共有を前提できない今日の「世界社会(world society)」について新たな社会学的言語論を提起すべく、当初計画を発展的に再構築して、パーソンズ、エスノメソドロジー、ルーマン、ハーバマス、さらにシュッツとブルデューを加えた、戦後期からポスト戦後期にかけての主導的な社会学理論家たちの言語観を、文献コーパス化を援用したドキュメント分析を中心に解明するものである。 令和元(2019)年の本年度は本基課題の初年度ということもあり、まずは研究の基礎となる文献資料の収集やコーパス化を中心に行いつつ、パーソンズ、ならびにこれと関連してルーマンのシステム論的言語観の精査に着手した。またそれと平行し、とくにシュッツの言語観について、本基課題にもとづいて科研費・国際共同研究加速Aに採択されたため、ドイツに滞在して情報ならびに資料を収集し、受け入れ先で研究発表なども行いながら集中的に研究を推進した。さらに、前基課題から研究を継続していたデュルケムの言語観について、英語で論文にまとめあげ、著名な国際誌に投稿した(令和2(2020)年度中に刊行予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元(2019)年度は、椎間板ヘルニアを突如患い、そのあいだ数ヶ月、研究が思うようにはかどらないなどし、さらにそれに回復の兆しが見えた年度末2月ごろからは、世界的なコロナウィルスのパンデミックにより、滞在先のドイツで混乱の最中に置かれた挙げ句、並行して日本の所属大学での新学期対応に追われるなど、予想外の数多くの事態に見舞われた。しかしにもかかわらず、計画的な資料収集やコーパス化を進め、また、デュルケムについては国際誌での論文刊行のめどが立ち、かつシュッツについても英語で論文をまとめつつあるところまで漕ぎ着けた。なお本基課題については、おもに英語での研究成果発信を予定している。そのため、デュルケムやシュッツらの難解な母語の理論的テキスト(フランス語やドイツ語)を独自に英訳せねばならない状況である(既存の英訳書には訳出の仕方に難があったり訳語の選定に一貫性が欠けていたりしてそのまま使用できない。そもそも英訳書がないことも珍しくない)。この独自の英訳出には相当の時間がかかり、研究全体を先に先にと進める上では妨げとなっているが、研究成果の国際発信の意義の大きさと比べれば容認されるべきであり、かつそれを踏まえてなお上述の成果であるため、進捗状況はおおむね順調だと言える。
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今後の研究の推進方策 |
上で触れた現下の世界的なコロナウィルスのパンデミックは、本報告書を執筆している令和2(2020)年4月中旬時点では、依然収束する気配がない。所属大学での授業オンライン化や種々の管理運営上の変更などに急遽対応も必要で、当面はそれらの業務に忙殺されることになろう。さらに、研究発表(査読付き)を予定していた国際学会が開催無期延期になるなど、すでに研究上の具体的な影響が出ている。また、これから他の海外学会への研究発表の応募も予定しているが、開催国の今後の措置によっては、日本からの入国からが事実上不可能なこともありうる状況である。同様の理由により、海外での資料収集の計画にも影響大である。日本国内での移動や、コーパス化のためのアルバイトによる集団作業も難しい有様である。よって、本基課題の研究がまったく予定どおりにいかないことが予想される。ただ、幸い本基課題2年目であり、本年度はまずは来年度以降での成果発表に向けて、前年度までに収集した文献資料等の、自研究室での地道な基礎分析を中心とする。
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